人気女性作家7人に聞いた「大切な人に贈りたい本」
今回、7人の人気女性作家に「大切な人に贈りたい本」を選んでもらいました。もちろんこれを、自分自身に贈るのもありですよ!
山崎ナオコーラさんが「着物好きの友人に」贈りたい本は『きもの』(幸田文/新潮社)
「着物を切り口にして描かれる、女性の成長譚。ラストの関東大震災を乗り越えるところでは、非常時における着物の着方も出てくる」
鹿島田真希さんが「夫に」贈りたい本は『八日目の蝉』(角田光代/中央公論新社)
「男性が読んだら、最初はちょっと怖いと思うかもしれない。だけど、次第に女性の大変さがわかって、男性は必ず女性を何らかの形でサポートしたいと思うはず」
大島真寿美さんが「友に」贈りたい本は『いつも通りの日々』(早川司寿乃/ポプラ社文庫)
「深呼吸代わりに、ストレッチするみたいに、ぱらぱらと短いお話(少し不思議)を一つ、二つ、摘んで味わってほしい」
東直子さんが「娘に」贈りたい本は『タラチネ・ドリーム・マイン』(雪舟えま/PARCO出版)
「この本は、歌人でもある著者の柔らかな感受性で、地球のさまざまな人や事柄が、光と愛しさに満ちていることを存分に教えてくれます」
原田マハさんが「中学時代からの親友」に贈りたい本は『いつも一緒に 犬と作家のものがたり』(新潮文庫編集部/新潮社)
「友人が、最近、愛猫を事故で失った。私も愛犬が逝った後、悲しみに暮れたが、小説を書き、読書して、乗り越えてきた。本書は、犬と暮らし、犬を送った今昔の作家の愛情が詰め込まれた一冊」
辻村深月さんが「親友とその5歳になる息子に」贈りたい本は『オオカミグーのはずかしいひみつ』(きむらゆういち作・みやにし たつや絵/童心社)
「お母さんが嫌いなオオカミグーの秘密と、お母さんがグーを思う気持ちに何度読んでも泣いてしまいます。自分が出産してから、母子が出てくる作品に弱いのですが、中でもこの本は、自分が大事に思う友人やその家族に読んでほしいな、と感じます」
窪 美澄さんが「年末年始、家族とべったり過ごすことを、ちょっと憂鬱に感じている専業主婦の友人」に贈りたい本は『ねむり』(村上春樹著、カット・メンシック イラストレーション/新潮社)「歯科医の夫、子どもにも恵まれ、一見、とても幸せそうに思える主婦が不眠症にさいなまれていくお話です。眠らなければ「めざめ」はやってこない、という絶望ギリギリのところを描きながら、インパクトのあるラストシーンを読むとなぜか爽快さすら感じる不思議な読後感。読み手に寄り添う物語です」