「2013年は、過去最高の暑さになる」ーー。アメリカ航空宇宙局(NASA)がそう警告したのは、1月のこと。その後、3月には煙霧、4月には爆弾低気圧が日本を襲った。頻発する異常気象の正体は? そして、本当に最高の猛暑はやってくるのか? 専門家に聞いた。
「日本の夏の天気は、フィリピン近海の海水温と密接な関係があります。フィリピンの東沖の海水温が高い(ラニーニャ現象)と日本の夏は暑くなり、低い(エルニーニョ現象)と冷夏になることがわかってきました。今年は今のところ、この海域の水温が高いので、エルニーニョ現象は起こらないと見ています。少なくとも、平年並みの暑い夏になると思われます」
そう話すのは、『Nスタ』(TBS系)などでおなじみ、気象予報士の森田正光さん。また、NHK『ニュース7』などで活躍する気象予報士の岡村真美子さんは次のように予測する。
「気象庁の暖候期予報によると、フィリピン海付近では対流が活発になり、上昇気流が起こりやすくなりそうです。すると、この海域での降水量が増え、日本の南側海上に太平洋高気圧が張り出してくる。近年は太平洋高気圧が強く、その傾向は今年も続くものと思われます。今年の夏は、沖縄を除く広範囲で平年並みか高めの気温になるでしょう」
平年並みでも十分暑いが、別の要素が加わることで猛暑になる可能性がある、と森田さんは言う。
「去年と一昨年は『冷夏になる』といわれながら、とても暑い夏になりました。気候の変化はさまざまなファクターを総合的に考慮しなければいけませんが、ここ最近の大気の流れ方にクセがあるとすれば、今年も似たような動きになるかもしれない。私の知識と経験から判断すると、今年の夏もかなり暑くなるのでは、と思いますね」
ただひとつ、この『猛暑説』を打ち消す要素もあると森田さんは解説する。
「過去のデータを見ると、10年前の03年は冷夏でした。その10年前の93年は、戦後未曾有の大冷夏で、このときは『平成のコメ騒動』が起き、タイ米を輸入したほど。さらにさかのぼると、83年も冷夏でした。つまり10年周期で『3』のつく年は冷夏、というのを発見したんです。科学的な裏付けがあるわけではありませんが、太陽の活動が11年周期なので、ひょっとするとそれに関係しているのかもしれません」