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現在、千葉県・国立歴史民俗博物館では日本独自のおみやげ文化について、資料約1,300点を展示し、おみやげの変遷や背景をたどる企画展示「ニッポンおみやげ博物誌」(9月17日まで)が開催中。そこには多くのおみやげ品にまじり、ファンシーな絵が施された品々も。

 

「そういえばこういうおみやげ、確かにあった!」と、バブル期を経験した『女性自身』読者なら一度は見たことがあるだろうイラストが描かれたおみやげ品。そんな、’80〜’90年代、スキー場や温泉地など観光地に行けば必ずあった雑貨的なおみやげを「ファンシー絵みやげ」と名付け、収集し、今年2月には『ファンシー絵みやげ大百科』(イースト・プレス)を出版した山下メロさんは、こう解説する。

 

「描かれているキャラクターはだいたい2頭身。動物がモチーフの場合は擬人化されていて、2本足で直立した姿が特徴です」(山下さん・以下同)

 

そしてその発祥は、’78年に公開された映画『キタキツネ物語』。翌’79年、北海道でキタキツネのイラストを使った商品が発売されたのが、ファンシー絵みやげ第1号なのだとか。

 

その後、’80〜’90年代のバブル景気のなかで絵柄が洗練されたり、装飾が凝ったり、アイテムが増えたりと進化を遂げ、旅先では必ず見るみやげものにまで成長する。

 

その中には、ハートと鍵がセットになったキーホルダーで、女子がハート、男子が鍵を持つのがお約束で大ヒットした「カップルモノ」や、その土地ゆかりの“歴史上の人物”を2頭身でキャラクター化した「歴史モノ」など、覚えている人も多いのでは?

 

ところが、バブル崩壊とともにファンシー絵みやげの需要にも陰りが出始め、衰退。今ではほとんど見かけなくなってしまった。

 

「もともとサンリオなど全国共通の商品とは異なり、特定の範囲でしか売らない商品が、時代の勢いで毎年次々と作られました。売り切れたら新作というスピード感だったため、過去のアイテムを調べようと思っても、メーカーが商品リストや型番を作成していないケースがほとんどだったようです」

 

つまり、アイテムの種類や数量がどれくらいあったのかを知る手がかりはないに等しいのだという。

 

「だからこそできるだけ多く集めて、記録として残しておきたい。ファンシー絵みやげは、確実に時代を反映するアイテムですから」

 

山下さんは’10年以来、3,000軒以上のみやげ店を巡り、1万2,000種類以上のファンシー絵みやげを収集している。あなたも旅先で懐かしの品々を探してみては?

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