「iDeCoは、もともと’01年にスタートした制度ですが、’17年1月から公務員や専業主婦まで加入対象者が広がり、誰でも入れる個人年金に。加入者は毎月、コンスタントに約3万人ずつ増え、’18年6月時点では94万人ですので、現在では100万人を突破しているでしょう」
そう語るのは、確定拠出年金アナリストの大江加代さん。自営業ばかりでなく会社員であっても、かつてのような十分な企業年金は期待できないいま。老後資金のため、個人型確定拠出年金iDeCoを始めている人が増えてきているという。
50代にさしかかり、“年金をいまから作るなんて、無理かも”……と諦めている人も多いだろう。それでも、いまからiDeCoをはじめることにメリットはあるのだろうか。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに解説してもらった。
「iDeCoは、扱う金融機関が用意する投資信託などを、毎月定額で購入し、運用するかたち。最終的に積み立てたお金を、60歳以降に年金や一時金として受け取るしくみです」(風呂内さん)
証券会社で投資信託を購入するケースとは違い、iDeCoの場合は「拠出金は全額所得控除の対象」「利益も非課税」という大きなメリットがある。こうしたメリットを踏まえ、iDeCoを始めるのにいちばんお得な年齢や職業を見ていこう。
■開始目安の分岐点は45歳だが、50代以降でも意味はある!
60歳以降に給付となるiDeCo。“開始目安の分岐点”となる年齢は45歳だと風呂内さんは語る。
「45歳を超えると、いよいよ老後の資金作りが大事になってきます。残っている教育費などのめどをつけ、iDeCoを積極的に検討したいところ。減税効果を得るためにも、可能な限り積み立てることを目指しましょう」(風呂内さん)
では、加入期間10年を満たせない50代以降は始めてもメリットはないのだろうか。
「そんなことはありません。支払った分の年金が作れますし、減税効果も得られます。ただし、受給開始年齢が遅れますので、慎重な判断が必要です。たとえば加入期間が4年以上6年未満の場合は63歳、1カ月以上2年未満の場合は65歳からとなり、60歳以降も各金融機関によって定められている手数料が差し引かれるので、注意してください」(風呂内さん)
■収入に合わせた無理のない「拠出金」設定を!
「拠出金の最低額は月5,000円で、1,000円単位で上乗せできますが、会社員や専業主婦など立場によって上限額が変わります。もっともメリットを期待できるのは自営業・フリーランスの人で、上限額は6万8,000円です」(風呂内さん)
実際にiDeCoを始めた50代の女性自営業者はこう語る。
「将来、自分のやりたい仕事の資格を得るために、30代後半で留学したり専門学校に通っていたら、貯金がゼロになって。株の運用に関してはまったくの素人ですが、iDeCoだと、毎月定額で積み立てられるのでありがたいです。利益も出ている状態ですが、自営業者として確定申告の際、減税効果を非常に感じています」
拠出額は、年に1度変更することができるが、原則、加入期間は10年以上、さらに60歳になるまで受給できないので、計画的に拠出額を算出することが大事だ。