「母が『銀行にある』と言った3,000万円が、ふたを開けたら、1,000万円もなかったんです」

 

怒りを隠せないのは教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこさん。母・Aさんが有料老人ホームに入居するときに、鳥居さんは初めて「入居金はあるか」と、親の財産を聞いたという。

 

Aさんは自信満々で「3,000万円」と答えたが、銀行にあったのは預金ではなく「外貨建ての毎月分配型投資信託」だったのだ。一定の分配金が毎月必ず受け取れるので、一時、高齢者に人気があった。ただ問題は、分配金の出どころだ。

 

Aさんは毎月振り込まれる分配金を、運用の儲けだと思っていた。しかし、毎月分配型は運用で利益が出なくても、元本を取り崩して「特別分配金」を支払う仕組みだ。Aさんが受け取っていたのも、特別分配金だったのだ。

 

「母は運用上手とおだてられ、上顧客だけの特別な分配金だと思っていたのでしょう。元本が目減りしているなんて、想像すらしなかったと思います」(鳥居さん)

 

さらにAさんは、ハイリスクハイリターンの運用を選んでいた。銀行に勧められるまま、外貨でリスクの高い投資を行い、投資信託の値が下がって損が出るたびに売却し、別の投資信託を購入する。これが繰り返され、その都度、銀行には手数料が入る。

 

「元本から分配金も出ていたし、母もお金を使っていました。でも、投資信託の売買手数料が、高いときには50万円。そんなことが何度もあったんです」(鳥居さん)

 

Aさんは子どもらが何度説明しても、特別分配の仕組みを理解せず、最後まで銀行を信じ続けた。

 

「母の信用を裏切り、よくわかっていない高齢者にリスクの高い投資をさせる。これが大手銀行の真の姿です」(鳥居さん)

 

国民生活センター相談情報部の稲垣利彦さんは語る。

 

「銀行では預金以外にも、投資信託や生命保険など『元本保証』でない商品も扱っています」

 

’97年から投資信託を、’01年から保険の販売を始めた銀行。20年以上前から多くのリスク商品を扱っている。

 

当然、顧客にきちんと説明し、リスクを理解してもらって販売しなければならない。投資経験ゼロの人に、複雑な設計のリスクの高い商品や、元本保証を望む人にリスク商品を勧めてはいけない。

 

特に高齢者には、厳重に注意して販売するよう、全国銀行協会がガイダンスを示しているが、守られているとはいえないだろう。生命保険の銀行窓口販売の相談件数および契約当事者が60歳以上の相談割合(’17年2月・国民生活センター)を見ても、相談者の約8割が60歳以上の高齢者なのだ。

 

「高齢の相談者は、『銀行だから、元本が減るような悪いものは勧めないだろう』と思ってしまう人がいます」(稲垣さん)

 

ハイリスクの投資や保険を、高齢者は「銀行だから」と信用して契約してしまうから要注意!

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