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「無意識の習慣、そしてあふれる情報に振り回されてお金を失うことは、誰にでもありえます。最近目立つのは住宅ローン減税を利用した頭金の運用。お得という言葉に踊らされ、軽い気持ちで始めて失敗する人が多いです。人生100年時代、お金についての知識不足は命取りになりかねません」

 

家計再生コンサルタントの横山光昭さんはこう警鐘を鳴らす。今年6月には金融庁が、夫婦の老後の生活費用として公的年金に加えて2,000万円が必要だとする試算を発表。年金だけに頼れないという現実の前に、家計を見直さなくてはという焦りは募るが……。

 

「資産を増やそうと慌てて投資を始める前に、まずは日々の支出を振り返ってみることが必要。そして、そのためにはそれぞれの支出が、『消費』『浪費』『投資』のどれに当てはまるかを分類することが有効です」

 

消費は、食費や住居費、日用品など生活するのに必要だが、生産性はあまり伴わないもの。浪費は、いわゆる無駄遣い。嗜好品や度を超えた買い物など、生活に必要なく、今を楽しむだけの出費だ。投資は、習い事や貯金、投資信託など、必ずしも必要ではないが将来役に立つ生産性の高い出費を指す。たとえばワンランク上の仕事への転職を目指すためのものなら、書籍なども投資だと言える。

 

「分類した中から、不要な支出を探してみましょう。それにより、何が本当に必要だったのか、自分なりの価値基準が明確になり、どんぶり勘定から脱却できます」

 

家計に無駄がなくなり、お金が貯まってきて初めて、投資を始めるステージに到達する。

 

「投資は損をするかもしれないから怖いと考える人がいますが、しっかりと勉強し、投資信託など低リスクの商品を選べば、それほど臆病になる必要はありません。むしろ、お金を銀行に預けたままだったり、貯蓄型の保険で積み立てているだけの人は、インフレが起きてお金の価値が下がったときに、貯金だけで生活していけなくなる可能性があります。’90年代までは金利が高く、郵便局や銀行の口座に預けているだけでお金が増えていきましたが、今は超低金利時代。お金についての考え方を転換しないと、増やすことはできません」

 

本格的に投資を始めるときに、横山さんが提案するのが「3つの袋」という考え方。貯金を「使う」「貯める」「増やす」の3つの口座に分けて管理する方法だ。

 

「使う」は、日常の突発的な支出に対応する金額を含めた、生活するための貯金で、目安は月収の1.5カ月分。「貯める」は、失職や病気で働けなくなったときなど万が一に備えた蓄えで、その目安は月収の6カ月分。そしてその2つの袋が達成できれば、次が初めて「増やす」で、投資をしていくということになる。

 

「これだけの蓄えがあれば、万が一、急な出費が必要になっても対応でき、安心して投資ができます。ただ、これはあくまでも理想の額。足りない場合は、貯金と並行し、少額の投資から始めてもOKです。たとえば、積立型の投資信託なら金融機関によっては100円から始められます。スマホの契約を見直し、格安スマホに乗り換えれば、月に5,000円ほど余裕ができますから、そのお金だけでも投資は始められるのです」

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