’16年2月に日銀のマイナス金利政策が始まってから3年半。銀行は収益が悪化し厳しい状況だ。マイナス金利とは、銀行が日銀に資金を預けるとき、一部の口座には金利が付かないばかりか、手数料を取られること。預けた資金は目減りしていく。
ただマイナス金利は、日銀と銀行間で行われることで、私たちの預金には適応されないといわれている。大手銀行の普通預金利率も、0.001%とごくわずかですがプラスの金利が付いている。
しかし、一部の個人口座に「管理手数料」導入の動きが出てきた。これはまさに、個人向けマイナス金利といえるものだという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。
■口座の棚卸しをして、銀行口座やATMの利用もよく考えて
最初の標的は「休眠口座」です。一定期間、入出金などの取引がない口座に、管理手数料の導入を検討する銀行が増えています。
実はすでに、りそな銀行では導入されています。対象は入出金が2年以上ない残高1万円未満の口座で、「未利用口座管理手数料」として年1,200円を引き落とし。口座残高が減り、手数料が払えなくなると、自動的に解約されます。
たとえば残高9,000円の口座から毎年1,200円が引き落とされると、7年後の残高は600円になります。8年目の手数料は払えないので解約され、預けていたお金も口座自体もなくなってしまうのです。
ほかにも、振込み手数料などを引き上げる銀行もあります。
たとえば、横浜銀行では、今年5月から他行あてのATM振込み手数料を、振込額が3万円未満なら270円から324円に、3万円以上だと432円から540円に引き上げました。
さらに、横浜銀行は硬貨の預け入れに『硬貨整理手数料』を導入しました。硬貨500枚までは無料ですが、501~1,000枚までは432円、1,001~2,000枚までだと864円などと有料化したのです。貯金箱いっぱいの硬貨を預けると手数料がかかり、貯めたお金が目減りしてしまう。預入れ時に限ってですが、これも個人向けマイナス金利の1つといえるでしょう。
今後、銀行の収益がもっと悪化すると、手数料の導入も増えるでしょう。たとえば、預け入れの少ない小口口座から管理手数料の徴収などが広がっていくと思います。
私たちは今のうちに、銀行との付き合いを見直す必要があります。
【1】銀行口座の棚卸し
使っていない口座はないか、チェックして、不要な口座は解約しましょう。口座は少ないほうが管理は簡単です。総合口座1つか、せいぜい給与振込み口座と貯金用口座の2つがあれば十分です。
【2】インターネットバンキング
手数料は銀行口座→銀行ATM→インターネットバンキングの順に安くなります。「インターネットバンキングはムリ~」という方も、慣れれば簡単です。銀行の行列に並ぶことなく、自宅から24時間手続きできて安いのですから、使わない手はありません。
今年10月の消費税率引き上げで、銀行手数料も一斉に上がります。口座の整理はお早めに!