「昨年に金融庁が公表した『老後資金2,000万円不足問題』をきっかけに、定年を間近に控えた人たちを中心に、老後に対する不安が高まっています」
そう話すのは、“保険のプロ”として活躍するファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。日ごろのちょっとした買い物から大きな決断まで、お金の使い方はその選択一つで得することもあれば、損を招くことも。そこで、カギとなる消費の1コマを2択クイズで出題! 保険・金融資産選びで得するのはどっち?
【Q1】年金の受給額で得するには?
繰り上げ受給 or 繰り下げ受給
正解は、繰り下げ受給。「一般的な年金受給開始は65歳。繰り上げて受給すると、支給金額が減ります。逆に繰り下げて受給すると、81歳の時点で、65歳から受け取るより合計金額が多くなります。女性の平均寿命を87歳と考えると繰り下げが賢明」(長尾さん・以下同)
【Q2】生命保険料の支払いで損しないのは?
毎月支払う or 1年分を一括払い
正解は、1年分を一括払い。「月々5,000円の保険を年間一括払いに変更すると、5万8,000円前後と3〜5%安くなります。一括で支払うのは心理的には大きな負担ですが、1年分一括払いが得。火災保険も5〜10年一括払いがおススメ」」
【Q3】医療保険に入り直すときは?
契約期間をきっちり区切る or あえて支払いが重複する期間を設ける
正解は、あえて支払いが重複する期間を設ける。「がん保険の場合、保険会社の通常の責任開始日から3カ月の間は発症しても保険金は出ない待期期間になっています。万が一に備え、がん保険の切り替えは3カ月間ダブらせるのが原則」
【Q4】損を防ぐ“財布”の管理の仕方は?
できるだけ1つに集約する or 目的別にポケットを分散する
正解は、できるだけ1つに集約する。「夫婦で別々の銀行口座に給与を振り込むなど、夫婦で別々の『財布』がある家庭も多いもの。ただ、ムダな支出を減らすという観点では、メインの口座を1つにして、家計の透明性を高めることが大事です」
保険業界に、今大きな変化が起きていると長尾さん。
「日銀のマイナス金利政策で、保険会社の終身保険では死亡保険金より払込額のほうが多い商品もあり、死亡保険の販売を止める会社も増えています」
保険会社が死亡保険に代わって力を入れているのが、生存保障である医療保険や介護保険だ。
「正直、日本は公的保険と高額療養費制度があるので、医療保険の必要性は低いと思います。介護保険はできるだけもらいやすいことが大切。要介護2になれば支給される商品を選ぶといいでしょう」
「女性自身」2020年3月24・31日合併号 掲載