画像を見る

新型コロナウイルスの感染拡大で自粛が続き、経済がひっ迫している。象徴的なのは企業の倒産。5月15日のアパレル大手レナウンをはじめとして、すでに170件を超える倒産が報告され、今後、さらに増えると予想されている。

 

特に、地方はきびしいだろう。これまでも不景気にギリギリ耐えてきた事業者は、コロナショックがダメ押しとなり、廃業を決める。そんな倒産が増えると、自治体が足元から崩れていく危険性も。

 

そこで、危機的な地元企業を救おうと、多くの自治体がプレミアム商品券を発行している。そんなプレミアム商品券について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■営業再開後のお店を応援できる商品券も

 

たとえば、神奈川県川崎市の「川崎じもと応援券」です。1万3,000円分の商品券を1万円で買えるので、お得度は30%です。

 

利用店舗などの詳細は、一律10万円の「特別定額給付金」の申請書とともにチラシを送って告知するようです。国の支援金を、できるだけ地元で使ってほしいという試みでしょう。

 

岐阜県関市でも同様に「コロナ対策プレミアム商品券 せきチケ」を販売します。1万2,000円分を1万円で買えますから、お得度は20%。ただ、高校生以下のいる世帯は同じせきチケを9,000円で買えるため、お得度は33%に上昇します。

 

こうした一般的な商品券と違い、長野県須坂市の「コロナに負けるな! 須坂市 経営継続応援商品券」は仕組みがユニークです。

 

須坂市の商品券は、それぞれ応援したい店で購入します。店は売れた商品券に捺印。その捺印店でのみ使える専用商品券となります。どの店も500円券×10枚つづりは共通ですが、販売額は店が独自で決め、お得度はさまざまです。

 

この商品券はいますぐテークアウトなどでも使えますが、本来は、現在営業を自粛・制限している店が通常営業に戻ったときに使うことを想定しています。営業の再開後に使うお金を、いま先払いして、窮地に立たされた店を支えようとする仕組みなのです。

 

また、住民全員に配る自治体もあります。北海道乙部町は、「スマイル商品券」を町民全員に配ります。1人5,000円分で、町内の店などで7月末まで使えます。同じく北海道の雄武町でも「地域元気応援券」1人5,000円分をすでに、町民全員に発送しました。

 

国は、4月20日、児童手当の受給世帯を対象に、中学生以下の子ども1人あたり1万円の「臨時特別給付金」支給を閣議決定しましたが、さらに、子育て世帯への支援を強化する自治体もあります。

 

秋田県大仙市では、国の施策に上乗せする形で、18歳以下の子どものいる世帯に、子ども1人あたり2万円の商品券を支給します。ひとり親や障害児のいる家庭は1万円を加算し、最大4万円です。

 

今後、プレミアム付き商品券を導入する自治体は、増えると思います。私たちはプレミアム分のお得を手にして、地元企業の応援にもつながるので、率先して利用したいですね。ただし、利用期限があるので使い切れる額をよく考えて、上手に利用しましょう。

 

「女性自身」2020年6月9日号 掲載

経済ジャーナリスト

【関連画像】

関連カテゴリー: