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12月1日、ユニクロと同じグループ会社のGUが、’21年から最大3割値下げすると発表した。GUは元々ユニクロより安価なブランドで、これまで2,990円だった夏物のワンピースを、1,990円に値下げする。GUの現在の平均価格帯は2,990円だが、’21年以降は全商品の半数以上が2,500円以下になるという。

 

コロナ禍で2〜3カ月先の景気は「悪化の一途」という分析結果もあり、デフレスパイラル加速が懸念されているそう。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■景気回復の見込みなく、デフレに拍車

 

コロナ禍で、働く方の給料は4月以降7カ月連続で、前年同月より下がっています(’20年10月分・厚生労働省)。洋服販売などのアパレル産業は、こうした影響をいち早く受けるといわれます。というのも、給料が減って家計が苦しくなると、まずは夫のスーツを買わなくなり、次は妻の洋服をガマンし、それでもまだ厳しいときに、食料品などもっとシビアな節約に向かう傾向があるからです。

 

また、巣ごもり生活で外出自体が減っています。リモートワークで通勤しない方も多く、近所に出掛けるカジュアルな洋服があれば事足りることも、洋服価格の下落を後押ししているでしょう。

 

デパートの衣料品は消費税増税などによる低迷にコロナ禍が加わり、13カ月連続で前年同月より売り上げを落としています(’20年11月・百貨店協会)。いっぽう、GUは、アパレル業界のなかでは売り上げ好調です。

 

いまでも安いGUが値下げを敢行すれば、さらにGU人気が高まるでしょう。GUは縫製工場の集約などでコストを削減し、価格を下げても利益は減らない目算があるのだと思います。

 

ですが、業界に与える影響は甚大です。経営状態の厳しい他社も、商品を売るためには利益を極限まで抑え値下げするしかないでしょう。持ちこたえられず、倒産する企業も出てくるのではと心配です。

 

景気に敏感な業種の経営者などに聞いた「景気ウォッチャー調査」では、現状の景気も2〜3カ月先も、前月の判断より悪化しています。コロナの収束が見えず「この先もっと不景気になる」という不安が蔓延していますから、消費は冷え込んでいくでしょう。

 

そうなるとますます、店側は商品を値下げし、消費者はできるだけ安いものを買うようになります。値下げ競争に拍車がかかり、モノの値段が下がって、一見、生活は楽になるように思います。ですが、企業が儲からなくなると、従業員の給料を減らし、私たちの生活が苦しくなる。まさにデフレスパイラルの再燃でしょう。

 

すでに、西友は9月から食品や日用品約800品目を値下げしています。イオンも11月から約700品目を、イオン傘下のまいばすけっとも、’21年1月から100品目の値下げを予定。値下げの波は、食品や日用品にも及び始めているのです。

 

政府には、Go To事業に固執するだけでなく、コロナ政策に注力し、生活を底上げする新たな策を講じていただきたい。国や社会の動きに注目しながら、私たちはおトクな商品をフル活用し、自分の生活を守り抜いていきましょう。

 

「女性自身」2020年12月29日号 掲載

経済ジャーナリスト

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