まだまだ終わりが見えない「外出自粛」ムード。特別な年末年始を過ごすいまこそ、「みんなが心地よく過ごせる」ような振舞いと礼式を知り、身に付けてしまおうーー!
「私が考える“育ち”とは、“佇まい”のこと。そのとき・その場にふさわしい所作や振舞いを知っているか、いないかで差が出るものです。必ずしも、生まれ育った環境を指すわけではありません。つまり、TPOにふさわしい所作や振舞いさえ知っておけば、いまからでも“育ちがいい人”になれるのです!」
こう話すのは、皇室や政財界の人などへのアテンド指導を行ってきた「マナースクール ライビウム」代表の諏内えみさん。著書『「育ちがいい人」だけが知っていること』(ダイヤモンド社)が累計30万部突破のベストセラーとなっている、“お作法のスペシャリスト”だ。
「年末年始は、お世話になっている人へのご挨拶、年賀状、そしてお歳暮……さまざまな場面で“育ち”が出ます。コロナ禍ではありますが、そんな特殊な状況下だからこそ、ご自身の所作や言葉遣い、振舞いについて“育ちがいい人”にならうだけで、よりいっそう、周囲の人に感謝の気持ちを伝えることができるのです」(諏内さん・以下同)
そこで諏内さんに、今年だからこそ知っておきたい“年末年始のお作法”について教えてもらった。
【1】お正月にしか会わない親戚にも“オンライン”で挨拶しよう
外出自粛やGo To トラベルの一時停止などで、毎年の里帰りを見送るという家族も多いだろう。
「マナーの基本は、“相手に合わせる”こと。無理に里帰りする必要はありませんが、実家にいる親御さんの気持ちになって考えてみましょう。“子どもや、孫の顔を見たい……”という思いで、不安なコロナ禍を過ごしている方も多いはずです。実際に会えないとしても、映像での連絡手段もいまはありますから、積極的に活用し、期待に応えるのがベストですね」
電話やLINEなどのテキストで済ませるのではなく、“顔を見て話す”ことで、気持ちも伝えやすい。
「しかし、ご高齢の方はパソコンに不慣れなことが多いのを考えると、スカイプやズームなど映像で対話できるツールを準備するにも時間がかかるかもしれません。いまからでも、使い方を教えてあげましょう。大みそかは、家族とズームをつないだままにして、“同じおせち料理を作ってみる”というのはいかがでしょうか。たとえ調理で失敗してしまったとしても、かえって楽しい思い出としてお互いの心に残ります」
【2】お年玉はポチ袋だけ見せて“後日郵送”で!
離れて住む祖父母、またはおじ・おばにとって、お年玉の手渡しは、子どもの喜ぶ顔が見られる貴重なイベントだが……。
「本当は、お孫さんに『どうぞ』と手渡してあげたいけれど、それができないですから、つらいですよね。今年は、ズームでポチ袋などを見せて、あとで銀行振り込みや、現金書留で送るというのが好手。大切なのは、家族みんなに幸せな年を迎えてもらうこと。『今年はなし!』では子どもたちもがっかりします。プレゼントなどでもよいですから、用意しておきたいですね」
【3】里帰りした場合は、家族の“衛生意識”を把握しておく
実際に里帰りできた家族の場合でも、老齢の両親などと一緒に食事をする際は、注意が必要だ。
「ご一緒に召し上がる方がどの程度、コロナ感染を気にするか、さぐってもわかりません。聞いてしまったほうが楽ですよね。義理のお母さんなどに『来客時に取り分けなどはいつもどうなさっていますか?』『小分けにして出されているなら、お手伝いしましょうか?』と、コロナ禍での来客にどう対応しているか把握しておきましょう」
その際、大事なのは、相手にとっての常識を否定してはいけないということ。
「『そんなこと気にしてるんですか、大丈夫ですよ!』または『あまり気にされないんですね』などと頭ごなしに言うと、余計ないさかいを生むことも……。“育ちがいい人”は相手に合わせることができる人、ということを忘れないように」
諏内さんが教えてくれた“育ちがいい人の作法”を実践すれば、たとえ年末年始に人と会わなくても、心は“密”な時間が過ごせそうだ。
「女性自身」2021年1月5日・12日合併号 掲載