6月24日、米国マイアミ郊外で、12階建てのマンションが倒壊した。24人の死者のほか、およそ120人もの住人の安否がわかっていないという(7月5日時点)。
中立な立場からマンションの維持管理のコンサルティングを行っている「さくら事務所」のマンション管理コンサルタント・土屋輝之さんは、こう分析する。
「築40年のマンションというのは米国ではめずらしくありませんが、このような事故は前代未聞です。調査が終わるまで断言できませんが、鉄筋量が少ない、地盤が弱いなど、何かしらの“欠陥”があった可能性が高いでしょう」
このような事故が日本で起きないか、気になるところだがーー。
「日本は地震大国のため、諸外国に比べて建築基準が厳しくなっています。マンションが基準どおりに造られていれば、あのような事故が起きることは考えづらいです」(土屋さん、以下同)
しかし、気になるのは“欠陥住宅”の存在だ。’05年、千葉県の一級建築士が構造計算書を偽造していたことが発覚し、マンションやホテルなど、多数の物件で耐震強度が不足していたことが発覚した。
’15年には東洋ゴム(当時)が、建物の基礎部分に使う免震ゴムの性能データを改ざんしていたことが発覚。この免震ゴムを使用していたマンションや官公庁の建物が改修を余儀なくされている。
このような大規模かつ、不正が絡んだケースはまれではあるが、定期的にマンションの“欠陥”の発覚は報じられてきた。
「お住まいのマンションが本当に建築基準を満たしているのか、管理組合が中立の検査会社などに依頼するケースはわずかです。9割ほどの物件が、施工会社や管理会社のチェックに頼り切っているのが現状。これでは“甘いチェック”となる可能性があります。実際に調査すると、一定の頻度で構造的な欠陥が見つかるのです」
これは有名ブランドのマンションであっても例外ではないという。
’15年、大手不動産会社が手がける神奈川県のブランドマンションが傾いていることが発覚。建て直しになり、今年2月、5年4カ月ぶりの再入居となっている。