傾きが見つかった神奈川県のマンションの当時の様子。階段の渡り廊下に段差ができているという住民の指摘が発端だった。現在はすでに建て替えられている(写真:共同通信) 画像を見る

多くの人が住んでいたマンションが突然崩れて……。米国で起きたそんな悪夢は日本でもあるのか。自分や家族の命や生活を危うくする物件の見分け方は? 専門家に聞いたーー。

 

6月24日、米国マイアミ郊外で、12階建てのマンションが倒壊した。24人の死者のほか、およそ120人もの住人の安否がわかっていないという(7月5日時点)。

 

中立な立場からマンションの維持管理のコンサルティングを行っている「さくら事務所」のマンション管理コンサルタント・土屋輝之さんは、こう分析する。

 

「築40年のマンションというのは米国ではめずらしくありませんが、このような事故は前代未聞です。調査が終わるまで断言できませんが、鉄筋量が少ない、地盤が弱いなど、何かしらの“欠陥”があった可能性が高いでしょう」

 

このような事故が日本で起きないか、気になるところだが……。

 

「日本は地震大国のため、諸外国に比べて建築基準が厳しくなっています。マンションが基準どおりに造られていれば、あのような事故が起きることは考えづらいです」(土屋さん、以下同)

 

しかし、気になるのは“欠陥住宅”の存在だ。定期的にマンションの“欠陥”の発覚は報じられてきた。

 

「お住まいのマンションが本当に建築基準を満たしているのか、管理組合が中立の検査会社などに依頼するケースはわずかです。9割ほどの物件が、施工会社や管理会社のチェックに頼り切っているのが現状。これでは“甘いチェック”となる可能性があります。実際に調査すると、一定の頻度で構造的な欠陥が見つかるのです」

 

■2年、10年を前にプロの目を入れる

 

命にかかわる構造上の欠陥ばかりでなく、生活上、ストレスのたまる欠陥もある。

 

「特に多いトラブルがカビ。壁の裏側の断熱材が足りず、結露が発生するケースがあります」

排水のトラブルも多い。

 

「水を流すため、排水管は緩やかに勾配がつけてあるのですが、それが足りていないことがあります。適切に排水されず、漏水となれば下の階にも被害が出ることがあるので、対応が必要です」

 

こうした欠陥がないか、セルフチェックすることが必要だ。

 

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