画像を見る

「週休3日制」は、政府の重要課題を示す「骨太の方針2021」にも盛り込まれ、日本マイクロソフトやみずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)などの大企業や、一部の中小企業にもじわりと広がってきた。

 

とはいえ「まだ現実的ではない」人が多いなか、東京都の調査では、中小企業の従業員が「今後導入してほしい」働き方として、週休3日制を選ぶ人が最多だった(’21年5月)。多くの人が希望する週休3日制について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■長い人生の分岐点と考えよう

 

現在導入されている週休3日制には、3つのパターンがあります。

 

【1】給料はそのまま、会議時間の短縮などでムダを極力カットして週休3日を実現。日本マイクロソフトなどで実施されています。
【2】ユニクロなどでは、週40時間労働を1日8時間×5日から1日10時間×4日にするなど、総労働時間も給料も変えずに導入。
【3】みずほFGなどは、週休3日なら給料は約8割に、週休4日だと約6割といった具合に、労働時間が減れば給料も減る仕組みです。

 

【1】や【2】は就業時間中のきびしさはあるものの給料は維持できますが、【3】は減給に直結します。会社側は「育児や介護を抱える人にも働きやすく」「増えた休日をスキルアップにあてて」などと説明し、現在は希望者のみが選べる制度ですが、私は聞こえのいい“コストカット”ではないかと思います。

 

ただ、こうした状況で問われるのは、働く立場の私たちがどう考えるかです。毎月の給料が減れば生活の維持がむずかしいし、給料に応じて社会保険料なども減れば、老後の年金額などにも影響が及びます。それは困ると、変化を拒み会社にしがみつきますか。

 

それとも、休日が増えるのをチャンスととらえ、新しいキャリアのために学び始める、副業を始めるなどの一歩を踏み出しますか。

 

後者にとって、週休3日制はすばらしい制度といえます。副業OKが浸透したいま、週休3日制で時間ができれば、会社員のままチャレンジできます。給料がある程度確保できますから、たとえ失敗しても、家族が路頭に迷うといった最悪の事態は免れるでしょう。

 

また、いまや大企業でも何が起こるか、わかりません。会社に依存せず、収入を得る第2の手段を持っておくことは、リスク管理の面でも大切でしょう。

 

「昔はよかった。会社は家族のようで、会社のもうけは従業員で分けて、みんなで喜び合った」

 

そんな“古きよき日本”には、残念ながら戻れません。グローバル化が進んだいま、会社は株主のもので、従業員は会社の“コスト”、これが現実です。

 

私たちはこうした変化を、嘆くのではなく利用しましょう。“会社第一主義”はもうやめて、第2の人生、これからの仕事、やりたいことを始めるチャンスです。人生100年時代、定年後の半生は隠居するには長すぎますよ。

経済ジャーナリスト

【関連画像】

関連カテゴリー: