■親に年金額、貯金額、不動産価値の確認を
「ひとくちに遠距離介護といっても、親の年金額や貯金、また要介護度によって、さまざまです。基本的に、私は“親の介護費用は親のお金で”という考え方。実際、遠距離介護している親子の多くは親のお金でまかなっています」
しかし、要介護度が高くなり介護施設に入居を検討するとなると、負担は子どもにも重くのしかかる。
「【ケース1】は鹿児島の父が東京に住む子どもの近くの施設に入居した場合。平均的な介護期間である4年7カ月で試算すると、費用の総額は1,800万円を超えます」逆に【ケース2】は実家の近くの介護施設に親が入居し、子どもがときどき会いに行くときの試算。こちらは1,400万円程度に抑えられる。
「やはり首都圏は介護施設の入居費用が高くなりがちです。お金だけを考えたら、まずは地元周辺で介護施設をさがし、希望するような施設が見つからない場合に、子どもの住む都市部の施設をさがす順番にするほうがよいと思います」
ただ年に数回、長期休暇をとり、長距離移動をする子ども側の負担は思いのほか大きい。
「とくに急に親の具合が悪くなったときに、遠距離をかけつけるのはたいへん。その場合、子の近くの施設に入居してもらうと楽です」
いずれにせよ、介護が必要になる前に、帰省した折に、親ときちんと年金額、貯金額、不動産価値などを確認しておくことがもっとも肝心といえそうだ。