「原油や石炭、液化天然ガスの高騰が続く今年の冬は、光熱費が急増する可能性があります。手立てを講じることが重要です」
そう語るのは、ファイナンシャルプランナーで消費生活アドバイザーの丸山晴美さん。
大手電力会社10社の12月の電気料金は、11月と比較して、平均的な家庭で67~141円と軒並み値上げ。ガス料金も大手4社で月64~88円アップ。いずれも4カ月連続での値上げになった。
「すでに’20年1月から月の電気料金は標準家庭でおよそ1,000円も値上げされています」(丸山さん・以下同)
そもそも冬は光熱費がもっとも高くなる季節だという。
「エアコン、電気ストーブ、ホットカーペットやこたつなどの暖房器具を頻繁に長い時間使います。電気ポットやトイレの暖房便座の利用も増える。一般的に光熱費の額は、12月から増え始め、寒さがピークを迎える2月が1年でもっとも高くなる家庭が多いですね」
しかも、今冬は、南米ペルー沖の海面水温が低くなるラニーニャ現象の影響で、日本全体に寒気が流れ込みやすくなるという予報も。
「今冬の光熱費は、例年より数千円増。2割近く増えたとしてもおかしくありません」 そこで、丸山さんがこうアドバイスをする。
「北海道や東北地方などは、厳しい寒さのため、暖房費が高くなってしまうのはしかたありません。しかし、ストーブをガンガンにつけた暑い部屋で、薄着で過ごしている家庭も少なくありません。ストーブの設定温度を低めにして、寒いと感じたら1枚羽織るように衣類で温度調節する新習慣を始めてみたらどうでしょう。また湿度が上がると体感温度がアップします。かといって湿度を上げすぎると結露してしまうので、40~60%を目安に。加湿器をつける、室内に洗濯物を干すなどして湿度調節をしましょう」
暖かい空気が逃げてしまう窓をカーテンで覆うことも光熱費を抑える大事なポイントだという。
「保温効果の高い厚手のカーテンで窓ガラスの部分だけでなく、天井から床まで覆うようにすることで光熱費は抑えられます。とくに寒い地方では、天気が悪ければ昼でもカーテンをしっかり閉めて室内の熱を逃さないことがポイント。また暖房器具を使う際は、できるだけ暖める範囲を狭くするのが省エネになります。リビングとキッチンや和室がつながっていれば、その境の扉を閉めたり、間仕切りを使ったりしましょう。家族が別々の部屋で過ごすより、ひとつの部屋で過ごせば、暖房費だけでなく照明などの電気代の節約にもなります」
これだけで月2,000円の節約も可能だという。さらに電力会社を切り替える、家電を省エネタイプに買い換える、給湯ポットの保温機能、暖房便座を使わないなどの節約アクションで、さらに光熱費を安くできるのだ。