22年11月、後期高齢者医療費の2割負担がスタート 画像を見る

総務省の’20年の統計によると、65歳以上の就業者数は男女合わせて906万人。これは高齢者の約25%に当たり、17年連続で増加中、今後も増え続ける見通しだ。

 

「みんな一生懸命に働いているのに、国は年金の受給開始年齢をどんどん後ろ倒しする方向。後期高齢者の医療負担も一部で増加しますし、不安は募るばかりでしょう。さらに、コロナ不況でいったん見送られていた、家計にさらなる負担をかける政策が再び動きだすことも考えられます」

 

そう話すのは、マネーセラピストの安田まゆみさん。

 

コロナ禍で、収入が大きく減ってしまった世帯も多い。私たちがすべきことは、「お金にまつわるどのような制度が新設・改正されるのか、現状の情報をきちんと知ること」だと安田さんは説く。

 

ここでは、’22年のうちに「改正される」主な分野「保険」「年金」について詳しいファイナンシャル・プランナーの中村薫さんに、「’22年版マネーニュース」の解説をしてもらった。

 

【10月】

 

〈社会保険〉:パートの社会保険加入の適用要件が変更。

〈医療費の自己負担〉:後期高齢者で2割負担のケースが出てくる(所得に応じて、1カ月の負担増が最大3,000円に収まるよう配慮される)。

〈企業型確定拠出年金(DC)〉:加入者が個人型確定拠出年金に加入する場合、規約変更なしで加入できるように。

 

現状では、労働時間が少ないパート勤めの主婦や、2カ月以内の期間雇用者などは社会保険に加入することができない。その加入要件が次のように拡大される。

 

(1)会社規模が「500人超」→「100人超」に。これにより、小規模の会社でも社会保険を適用できるようになる。
(2)「1年以上雇用の見込みがある場合」という要件が撤廃。
(3)2カ月以内の雇用の人でも、更新の見込みがあれば社会保険に加入できることに。
(4)弁護士などの「士業」事務所も、5人以上の規模で社会保険加入に。

 

これらは“要件拡大”といえば聞こえはよいが、私たちに“もっと働け”と言われている気がしないでもない……。

 

そして、明らかに国民の負担が増す改正もある。

 

「後期高齢者医療費の2割負担がスタートします。現在はほとんどの人が1割負担で、現役並みの所得がある約7%の人のみが3割負担ですが、その中間に“2割負担層”が設けられます」

 

ただし、通院回数が多い、長期治療が必要……などの人のために、所得に応じて月の負担増が最大3,000円で収まるような措置(3年間の期間限定配慮)もある。

 

【2022年度中?】

 

〈相続税・贈与税〉:一体化法案(贈与税廃止、株式譲渡などの 税率引き上げ)→提出・可決で’22年度中の施行も。

 

時期は未定だが、国は相続税・贈与税の一体化法案(贈与税を廃止し、株式譲渡などにかかる税率を上げるなど)を成立させ、’22年度内の施行をもくろんでいるとも……。

 

収入が減っているというのに、身近なものの値上げは続き、国に取られるお金は増えていく。家計にとって厳しい1年になりそうだ。国が年金を出し渋り、負担を増加させる一方なら、私たちは「使えるサービスを使うべき」と話すのは前出の安田さん。

 

どうにも細かいところがわかりにくい年金についても、相談の窓口は年金事務所だけに限らないという。

 

「年金事務所は『相談予約1カ月待ち』などという話も聞きますが、各地にある『街角の年金相談センター』は、意外とガラ空きだったりします。居住地域以外のセンターででも相談でき、便利です。年金にしろ、介護にしろ、不安があれば行政に相談してみることが大切です。何に困っているのかをハッキリと説明すれば、真剣に答えてくれる職員はいます」

 

国は、私たちが納めるべきお金についてはこちらが黙っていても丁寧に通知してくるが、もらえるお金を取りこぼさないためのアドバイスなどは、向こうからはほとんどしてくれないのだ。

 

さまざまな制度が変わる‘22年。損をしないためにも、家計に関わるものを見落とさないよう心がけたい。

【関連画像】

関連カテゴリー:
関連タグ: