「リリース当初、ネットでは賛否があり“ゴミ”と言われることもありました。けれど、おかげで仕入れ業者の方が注目してくださり、『いろんな意味で話題性があるのだから、発注したい』との声をいただいています」
そう語るのは、株式会社ブライトリンク代表取締役社長・佐藤明香里さん(25)。同社が企画した’22年3月発売予定のカプセルトイ「ギャルが折った折り鶴」は、もはや鶴と呼んでいいのかも定かではないその形状からSNS上で大きな反響を呼んでいる。
《超欲しい!》《コンプリートせねば》と発売を楽しみにする人がいる一方で、《もはや何が売れるかわからない世界に…》《これって鶴なの?》と困惑した感想も……。商品制作に携わった佐藤さんに、開発意図を聞いた。
「この商品は5人のギャルが実際に折った鶴を手折りで再現したもの。いまはモデルの原型を作っている段階で、今後忠実に再現するために、分解、分析、マニュアル化を行っていきます」
1回300円で、折り鶴だけでなく同梱するQRコードからメイキングの動画も楽しめるようになるという。
「ギャルが折った折り紙」は、思わずムフッと笑っちゃうモノづくりを行うプロダクト開発チーム・専業ムフさんとブライトリンクのコラボレ―ション企画だ。“他社が真似できないぶっ飛んだものをつくりたい”と考えた佐藤さんが専業ムフさんに企画のタイアップを依頼。すでに他社から発売されている折り鶴のフィギュアとは一線を画す、“少し形の崩れた折り鶴を”をテーマに据え、敢えて手折りで再現する“生々しさ”を売りにした企画が誕生したという。
「“なにかを崩してあるものにはかわいらしいものが多い”という専業モフさんの提案を受け、ガチャの商品として“ちょっとヘタな折り鶴”があってもいいんじゃないかというところに至ったんです。実際に、ギャルが折った折り鶴の提案を受けたときには“間違いなくバズる!”と思い、即商品化を決定しました」
確かに「ギャルが折った折り鶴」はブライトリンクのブランド方針である「最高にクレイジー」なモノづくりにぴったりの商品だ。さらに、カプセルトイにおいて、バズることは非常に重要な要素だと語る。
「弊社は業界内では最後発に近い企業です。老舗のカプセルトイメーカーが作るような、精巧なミニカー、リアルなお城、かわいい猫のフィギュア……などと同じ土壌では勝負になりません。それに、カプセルトイは同時期に300個も新商品が出ます。独自の企画を産んで、顧客に発信していかないと簡単に埋もれてしまう。だからこそ、SNSで注目を集めることは売り上げに直結すると思っています」
コロナ禍でも年間400億円超まで市場を拡大するカプセルトイ業界。販売機を多数そろえた大型専門店が続々登場し、その商戦は熾烈を極める。そんな中で、ブライトリンクのターゲットである若年層にとっては、“SNS上でバズってしまう商品のクレイジーさ”は、商品を認知してもらうきっかけとしても大きな役割を果たすのだ。
「まずはSNS上でバズって彼らにリーチし、この商品が欲しいと思っていただく。そして実際にガチャガチャを回しに行き、商品を楽しんでもらう。そうやって、私たちの商品を知っていただきたいです」