■’22年はありとあらゆるものが値上がりする
’22年の値上がりのパターンは大きく分けて2つある、と加谷さんは語る。
「ひとつは、油や食品など原材料からあまり加工されていないものが、原材料の高騰に伴って値上がりするパターンです。この潮流は、’21年から起きており、昨年値上がりした食用油やマーガリン、電気・ガス代などが該当します」
1月以降値上げされるカルビーや湖池屋のポテトチップスは、原材料であるじゃがいもの高騰が価格に大きく影響している。
「現段階では未発表ですが、’21年に値上がりしたコーヒーと同系列であるカカオ豆、ピーナツなども、6月ごろに10%ほど値上がりする可能性があります」
同じ分類では、バナナなどの果実類も夏前の6月ごろ5%程度の値上がりが予測されるという。
肉類では牛肉が継続して値上がり傾向にあるが、次に上がるのは「鶏肉」だと加谷さんは考える。
「外食産業では、高値の牛肉の代用メニューに豚より鶏を用いることが多い。そのため、鶏肉が6月ごろに7~10%値上がりするかもしれません。ちなみに豚肉は、上がるなら9月ごろに5%ほどでしょう」
そして、魚介類は漁船の燃料代高騰により、9月ごろ7~10%の値上がり。同時期には、紅茶が10~20%、卵が飼料高騰により7~10%値上がる可能性があるという。
「さらに2つ目のパターンとして、これまで値上がりしにくかった、加工の工程が多い商品の値上げも始まります。加工に手間がかかるほど、メーカーは原材料費以外の経費(人件費や広告宣伝費など)のやりくりで値上げを抑える努力ができますが、原材料費の高騰があまりにも進んだため、もうそれも“限界”を迎えているのです」
すでに値上げが発表されている“加工品”は、1月のコクヨの文具品や、4月の住設メーカーのLIXILのユニットバス、トイレなどだ。
「住宅設備は、大手のLIXILが値上げするので、各社、同等の値上げを行うことが考えられます。リフォーム価格やマンション価格に後々影響してきそうです」
’22年後半には値上がり傾向はより加速すると加谷さんは考える。
「冷蔵庫などの大型白物家電は、7月のボーナス商戦あたりに10%程度値上がりする可能性があります。自動車の価格についても10月以降に10~15%上がると一部で予想が立てられています。自転車、バイクなどもこれと同じく引き上げられるでしょう」
4月のウイスキーの値上げによって、それ以外の酒類も9月以降5%程度値上げされるだろうと加谷さんはみる。
そのほか、宅配料金は現在据え置き状況だが、10月以降、大手から3%程度の値上がりが予想される。バス、タクシーも同じ時期の10月以降、業界団体と国土交通省の値上げ議論が持ち上がる可能性があり、上げ幅は「3~5%程度ではないか」と加谷さん。