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“災害列島”ともいわれる日本。地震だけでなく、これからの季節、大雨や台風による水害にも気をつけなければならない。

 

万が一災害が発生したら、避難所の存在は非常にありがたいものだが、いざ避難所での生活が始まると、女性ならではのさまざまな問題が浮かび上がってくるという。

 

実際の避難所生活は「イヤなニオイとの闘い」というのは、防災士の柳原志保さん。柳原さんは東日本大震災で被災し、避難所暮らしを余儀なくされた。その際の経験から、「不便でも我慢をするのが当たり前で、女性の視点が反映されていない」と痛感。後に防災士の資格を取得し、現在は防災啓発のため講演活動を続けている。

 

当時、3月11日の地震発生直後から約2週間、母と2人の息子とともに、宮城県内の避難所に身を寄せた。そのときの光景は今でも脳裏に焼き付いているという。

 

■女性の立場から見えた“本当に必要なもの”

 

「いちばん困ったのはトイレ。避難所のトイレが排せつ物であふれてしまい、ニオイが室内まで充満して本当に苦しい思いをしました。でも、仮設トイレの設置までは、女性は外で用を足すわけにはいかない。凝固剤が入っている袋の中で用を足す持ち歩きタイプや、便器取り付けタイプの携帯トイレは必須だと思いました」(柳原さん)

 

とっさに持ち出した荷物は、ティッシュとハンカチ、財布、携帯電話などが入ったバッグのみ。着のみ着のままで、逃げるのがやっとだった。

 

避難所に物資が届いたのは震災の翌日で、おにぎりやお茶などの食べ物は配られたが、生活必需品はかなり後になってから。

 

「避難グッズをあらかじめ用意するのであれば、リュック1個の中にすべてを入れて、安全のために両手は何も持たないようにしましょう。また、荷物の量は1泊2日分が目安。下着は何枚も持っていくとかさばるので、パンティライナーがあれば、ショーツは1〜2枚で足ります。また、ブラジャーはつけ外しが大変なので、タンクトップにカップがついたブラトップがあると便利で安全」(柳原さん)

 

家族で避難したとしても、痴漢など危険な目に遭うこともあるので、ノーブラの状態は避けたほうがいいという。

 

数日〜1週間は入浴できないことも想定して、水洗いできなくてもスッキリするドライシャンプー、ウエットティッシュや体ふきシート、制汗スプレーなど、ニオイ対策のグッズも準備しておこう。また、口臭対策に歯磨きガムも有効だ。

 

そして、最も違和感を覚えたのは生理用品の支給を受けたとき。配布したのは男性で、生理用ナプキンを1人1枚ずつ配っていた。

 

「必要な人は1枚では足りませんし、今までと違うものを使うとストレスがさらにたまります。生理が不定期になるゆらぎ世代でも、ご自身がいつも使っている生理用ナプキンを最低3日分は用意しておくと安心できます。また、尿漏れが気になる人は尿漏れパッドを用意しましょう。緊張や強いストレスを受けると、失禁することもあります。下着の替えには、吸水ショーツが1枚あれば万全です」

 

使い捨ての下着はすぐにストックがなくなるうえ、ゴミにもなるのであまりおすすめしない。

 

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