来年1月からティッシュやトイレットペーパーが20%以上値上げされる。
帝国データバンクによると、来年2月には3000品目を超える値上げラッシュが再来するというのだ。
相次ぐ値上げや物価高騰で家計負担が増すなか、「激安の掘出し物が見つかる!」と、注目を浴びているのが「鉄道忘れ物市」。
ショッピングモールなどの特設会場で開催されるというが、いったいどんなイベントなのか。
「名前のとおり、電車や駅構内の“忘れ物”を販売しています。北海道から九州まで、全国をまわりながら期間限定で開催しているんです」
こう話すのは、「鉄道忘れ物市」の主催者で、リサイクルショップ「ラ・ボーテ」代表の上田哲也さん。販売を始めて今年で20年目になるが、ここ最近の物価高騰の背景から人気が急速に高まっており、なかには京都から関東の開催地まで足を運んだ人もいるのだとか。
激安品が多いとなれば気になるところだが、忘れ物が店頭に並ぶまでの過程はどうなっているのだろう?
「電車や駅構内での落とし物や忘れ物の保管期限は、拾得してから3カ月。その期間に持ち主が見つからない場合、法律により所有権は鉄道会社に移ります。
そこで鉄道会社がまとめて競売にかけたものを、われわれのような業者が購入して販売しているのです。主にJRと京王電鉄から仕入れており、いちばん忘れ物の多い傘の入札だと、1度で5000本~20000本を仕入れます」(上田さん・以下同)
そんな「鉄道忘れ物市」を始めたきっかけは、上田さん自身の苦い経験にあるというーー。
「昔、60万円で買った腕時計をなくしたんです。結局返ってこなくて悔しい思いをしました。
でも、処分されてしまうくらいだったら、誰かに使ってもらえたらなとも思い、そんな経験から“捨てられてしまう忘れ物を世の中に戻してあげたい”という気持ちでやっています」
販売される商品は幅広く、実際に「ブランチ横浜南部市場」(神奈川県)で開催された「鉄道忘れ物市」へ記者が足を運んでみると、ハンカチ、バッグ、洋服、腕時計、アクセサリーから本、文房具、印鑑、ドライヤーまで売られていた。
断トツ人気は、忘れ物の数としてもいちばん多い傘だという。
「安いものだと数十円から販売しています。なかでも新品の半額以下で買えるブランド傘や、折りたたみ傘が人気ですね」
ここ最近はワイヤレスイヤホン、モバイルバッテリーといった、スマホ関連の商品も売れているそう。
訪れていた50代の女性も「以前、『鉄道忘れ物市』でイヤホンを購入したことがありますが安くてよかったです。今日、別の買い物に来たらちょうど開催していたので、寄りました」と話していた。
「商品の状態によって価格は変わってきますが、たとえば新品の価格が19800円のApple製ワイヤレスイヤホン『AirPods』が5800円。定価の約7割引きと、大変お得な価格設定となっています。寒くなってきた今の季節はマフラーや手袋もよく売れていますね」
イヤホンやマフラーなどがお買い得価格で買えるのは朗報だが、誰かが使っていたことに抵抗感を覚える人もいるのでは……。
「基本的に商品はすべてクリーニングしています。
イヤホンは一つひとつ手作業で、まずは洗剤で洗い、アルコール消毒をし、最後に綿棒などを使い細部まで掃除しています。
洋服やマフラーなども洗濯していますし、シルク生地やブランドコートなど洗濯できないものに関してはクリーニング店に出すこともあります」