では、延長コードの危ない使い方とはどのようなものなのだろうか。宮川さんと技術系家電ライターの藤山哲人さんにアドバイスをもらった。
【1】コードを踏んでいる
「キャスター付きの家具で何度も繰り返し踏まないこと。家具の下敷きになっていたり、何度も足で引っ掛けてしまったりした延長コードも、断線の危険があるので要注意です」(宮川さん)
【2】ペットの毛やホコリがたまっている
「水分を含んだホコリやペットの毛が発火をもたらすトラッキング現象につながります。ホコリがたまりやすいコンセントの近くで加湿器を使うのは、発火リスクが高まるので避けてください」(宮川さん)
要注意ポイントは、テレビ裏だという。
「めったにプラグを抜き差ししませんし、掃除が行き届きにくい場所です。台所の冷蔵庫やレンジも、油汚れによってベトベトになり、ホコリなどが付着しやすいエリア。面倒でも1年に1回くらいは、プラグの周りを乾いたタオルで拭き取りましょう」(藤山さん)
【3】延長コードを巻いたまま使う
「長すぎる延長コードを購入すると、あまった部分をぐるぐる巻きにして、結束バンドなどでまとめたまま使用したりします。しかしコードを巻くことで磁力が発生し、電流の流れが悪くなって、異常に熱を持ってしまうことが。事故の原因にもなるので、延長コードは伸ばした状態で使用しましょう」(藤山さん)
【4】プラグの刃が曲がっている
テーブルタップを踏みつけたり、コードを引っ張ってプラグを抜くと、プラグの刃が変形してしまう。
「コンセントと刃の接触が不良となり、異常発熱や発火を起こすリスクがあります。必ずプラグ部分を持って、抜き差しするようにしましょう」(宮川さん)
【5】タコ足配線をしている
「多くの延長コード、テーブルタップの最大消費電力量は1千500ワットまでです。熱を発する電化製品は使用電力が大きいので、とくに冬場は注意が必要。電気ストーブ、電気ポット、コタツ、電気カーペットなどをタコ足で使用すると、コードが異常発熱して、ショートを起こす危険があります」(宮川さん)
【6】5年以上使っている
日本配線システム工業会では、延長コードの交換目安は3〜5年と呼びかけている。
「どの家庭でも、延長コードはなかなか故障せず、交換もしないので、長い間使い続けてしまいます。なかには『ナショナル』と書いてある古い製品を、いまだに使っている人も。古いと劣化が心配ですので、定期的に買い換えるようにしましょう」(藤山さん)
【7】コードが熱い、変色している
「コードの中には、40本ほどの芯線がありますが、そのうち20本ほど断線すると、破損部分が異常発熱したり、そのせいで茶色く変色したりします。家電の電源が入ったり切れたり不安定なときも、コードの一部が断線している可能性があるので交換を」(藤山さん)
ときには命にも関わる延長コードの事故。今一度、家庭内を点検しておこう。