■「“壁”を超えて働くことを考える時代に」
今後、「壁」はどうなるのか?
「現行の制度では、夫がサラリーマンや公務員などで、“社会保険の壁”を超えずに、夫の社会保険の扶養に入っている妻の公的年金は『第3号被保険者』に該当し、年金保険料の負担がありません。
一方、同じ専業主婦でも、夫が自営業の場合は、年金保険料を自分で支払っています。こうした現状が不公平かつ女性の労働意欲をそいでいるとして、以前より問題とされてきました。多様化が進むなかでは、世帯単位ではなく、個人単位で税や社会保険料を払う方がいいのではないでしょうか」
長期的には、「扶養制度」そのものが縮小、または廃止されることで、「年収の壁」が消えていくと見込まれている。働く女性はどう対応すればいいのだろう。
「“社会保険の壁”を超えると、大きく手取りが減りますが、将来の老齢年金が増える点がメリットとして指摘されています。とはいえ、公的年金は財政不安を抱えたままで、多くの方の老後不安につながっています。人生100年時代に突入しようとするなか、現状の社会保障制度はもはや私たちの暮らし方に合わなくなっています。今後も改正は続くでしょう。
その都度、働き方を変えるのではなく、壁など気にせず長く働くことを意識して、やりがいを優先するといいのでは? 130万円の壁の前で尻込みしている人は、年収155万円以上を目指して挑戦するタイミングなのかもしれません」
壁を大きく飛び越えることが、現在と未来の家計を守るのだ。