大地震で家屋倒壊…九死に一生を得た5人の実話
画像を見る 兵庫県明石市の阪神淡路大震災モニュメント

 

■実例4:「寝室が2階だった」(田中雅久さん)

 

神戸市長田区の内装業「恍雅堂」3代目の田中雅久さん(49)は震災当時21歳。「1階が店舗になっている本店2階で寝ていたんですが、揺れの2〜3分前に虫の知らせか、目覚めてるんです。『二度寝しよか』と思ったら何mも先から地響きがして、その直後に『ドン!』と縦揺れ。すぐに大きな横揺れが来て、とっさに布団をかぶりました。想像できないでしょうが、横揺れは、嵐の海面で船がブラーン、ブラーンと前後左右に揺られる感じ。遊園地の船のアトラクション『バイキング』みたいなんです。揺れが収まり布団から出たら啞然。屋上の物干し台とか植木鉢がすべて天井を破って僕の横に落ちていました。鉄骨の階段は壁を突き破って僕の隣に押し寄せていたし、『ここにいたらやばい!』と外に出ました。当時は古い店舗や家屋ばかりで、直後に見た多くは1階がペシャンコにつぶれていました」

 

■実例5:「車庫に落ちて車に守られた」(田中雅久さんの祖母)

 

「僕は祖母がいる2号店に向かいました。すると無残に倒壊した店の前に、実家にいた両親と弟、妹が駆けつけていて『おばあちゃんが死んだ!』と泣いているんです。ところが『ここや!』と奥から祖母の声が。床ごと2階から転落したけど、車と作業場のあいだの空間にいて、落下物の直撃をまぬがれたそう。夢中で助け出しました」

 

実例4、5のような激しい揺れだと、家具は倒れるどころではなく、部屋中を「飛び交う」という。

 

「机や棚を置いているのがカーペットの上なら、面ファスナーを脚につけるだけで、摩擦抵抗が上がって動きにくくなります。さらに、突っ張り棒で固定するより手軽な方法として、中に寝袋など軽いものを詰めた段ボールを上に重ねるのがおすすめです。天井まで隙間なく積み重ねておけば、家具が壁側から持ち上がって倒れるのを防げます」

 

タンスを避け、アクリルのカラーボックスなどで小分け収納をするというのも手だ。

 

「ボックスが散乱すれば障害物にはなりますが、圧死のリスクを回避できる可能性が高くなります」

 

このようにほとんどお金をかけずにできる家屋倒壊の対策もある。先人たちに学び、大地震に備えてまずは自宅の寝室から見直そう。

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