■地味に厄介な”タワマン亡霊”
激ヤバ客や迷惑クレームなど百戦錬磨だが、実は地味に厄介なタイプの顧客がいるという。それは数多のタワマンを見学しては購入する決断ができず、何年にもわたってギャラリーを彷徨い続ける“タワマン亡霊”だ。
「最初にお渡しする質問表で『これまでいくつ物件を見られましたか?』とお尋ねしており、概ね『初めて』とか2、3件くらい。5件と書いていると、『ちょっと多いな。慎重に検討されてるのかな』という印象です。
ですが、10件以上見てきたという方も結構な数いらっしゃいます。そうなると確実に5年以上は物件を見てきたと思われます。中には10年以上探しているという人もいました。
そういった方々の多くはタワマンを買える年収もあるのですが、話を聞いているとどこか優柔不断と言いますか。“買えるけど決めることが怖い”という感じで、決断ができないようです」
そういう“亡霊たち”は、タワマン以外に戸建てなどもチェック済み。それも全国各地の、さまざまな物件を見ているようだ。
「例えば東京都内の23区内に住んでいる方で、区外はもちろんのこと埼玉や千葉などの近県をチェックしている方もいます。『このまま全国回るのかな?カフェ巡りみたいな感覚なのかな?』と思ってしまいました(笑)」
50歳過ぎの“タワマン亡霊”に対しては「もう10年で定年でしょうから、今買わないなら10年間でお金を貯めて定年後にキャッシュで買ったほうがいいですよ」と提案すると、彼らはどのギャラリーでも言われているのか、口を揃えて「そうだよね」と独り言のように呟くという。
「条件を絞ることができないから、決めることができないんだと思います。『どこのエリアでお探しですか?』と聞いたら『うん、まぁ、職場にアクセスよければどこでも』と言われるのですが、この前の『THE SECOND』のガクテンソクの漫才じゃないですけど、『東京大阪間も1本ですけどね?!』と思ってしまいます(笑)。
亡霊状態になっている方はみなさん、『5年前はもっと安かったんだけどね』って口を揃えて言いますね。そう言われると苦笑するしかないのですが『5年の間に高くなってますし、お客様も年を取られてますし、ローンを組む期間も狭まってますよ。どうします? 結局決めないんですね? 時間のロスなんで、じゃあもう帰って!』っていうのが本音です」