■警察を名乗る電話でも折り返しが原則
A子さんが50代、B美さんは30代。詐欺というと、高齢者の被害が多いというイメージだが……。
「これまでの詐欺電話は固定電話を狙うことが多かったのですが、スプーフィング詐欺は相手を選びません。スマホにかかることも多く、30~50代の被害が増えています。2024年の被害者は64歳以下が52%と過半数を占めます」
実は、お金を振り込むなどの実害なく終わっても心配なケースがあるという。たとえば捜査に必要だと言われ、住所や氏名を教える。ビデオ通話でマイナンバーカードを提示する。なかには、銀行の口座名や投資信託の有無、資産形成をしているかどうかをしつこく聞かれたという被害者も。
「実害がなかったと安心している場合ではありません」
住所、氏名とマイナンバーがわかれば、金融機関の口座を作ることができる。それがカードローンなどでの借金やクレジットカードの不正利用などにつながったり、特殊詐欺の振込先として悪用される危険性もある。個人情報が売買され、さらに大きな詐欺の標的となり、高齢者などの資産が多いことが詐欺師に伝わると、闇バイト強盗などの危険性も高まる。
恐ろしいスプーフィング詐欺を避けるには、どうすればいいのだろう。高橋さんに教えてもらった。
【1】最近の詐欺情報を知っておく
「新宿警察署を名乗る詐欺師が多いことや、警察手帳や逮捕状など似たような画像が使われることから、詐欺の手口がマニュアル化されて広まり、同時多発的に似た詐欺が横行する傾向があります」
「0110番からの詐欺が多い」と知っていれば、「ひょっとしたら詐欺かも」と思う糸口になる。
【2】「+」から始まる国際通話など怪しい電話には出ない
詐欺師は海外に本拠地を置き、詐欺電話を集中的に掛けることが多く、国際通話は怪しい。
国際通話が必要なければ、固定電話は「国際電話利用契約の利用休止申請」をして止めるのも一手。スマホは各キャリアが提供するサービスを利用すれば停止できる。
【3】いったん切って、折り返す
警察署からの電話でも、警察だと信じ込まないことが大前提。総務省や地元の市役所などを名乗る場合なども同様で、相手の所属部署や氏名、内線番号などを聞き、いったん電話を切る。代表電話番号を自分で調べて、折り返そう。相手が警察なら、#9110の相談ダイヤルで聞くのが◎。
とはいえ、本物の警察官かもしれない人に「折り返す」と言うのは気が引けるが……。
「詐欺が横行する昨今、折り返すのは当然です。相手が本物なら、リテラシーの高さを称賛するでしょう。折り返しを阻止したり文句を言うのは詐欺師の証拠です」
警察官などと名乗る言葉をうのみにしてはいけない。冷静な対応で詐欺を撃退しよう。
画像ページ >【グラフあり】末尾が「0110」の電話番号が使われた特殊詐欺の件数(他2枚)
