■濃いめに淹れるのがおいしく作るコツ
備蓄米や古米を含め、米をお茶で炊く方法はとても簡単だ。炊飯釜にといだお米を入れたら、いつも入れる水の代わりに「お茶」を注ぐだけだ。
「分量の線まで、水またはお湯で煮出したお茶を入れてください。いつも飲むお茶よりも、やや濃いぐらいで淹れるといいですね。『少し濃いかな?』と思っても、炊き上がるとちょうどよい濃さになります。濃すぎても味が悪くなるわけではないので、だいたいの感覚でOKです」
淹れたての熱いお茶を、そのまま炊飯器にも注いでも問題はない。茶葉でお茶を淹れるのが面倒な人は、ペットボトルのお茶をそのまま炊飯器に注いでもよいが、茶葉で淹れたお茶のほうが香りや食感の面ではおすすめだ。
では、どの茶葉でよりおいしく備蓄米や古米が炊けるのか? 今回は北城さんのアドバイスを基に、本誌記者が緑茶、紅茶、煎茶、ウーロン茶、ジャスミン茶、ほうじ茶の6種類のお茶で備蓄米を炊いてみた。味・香り・しっとり・雑味(が消えているか)の項目について、それぞれ5段階で評価。総合の評価はS・A・Bの3段階で判断した。
まず、どの茶葉も共通して香りが抜群によい。炊飯器の蓋を開けた瞬間から、ほんわりと幸せな香りに包まれる。炊けた米を口に入れると、どれも軟らかくまろやか。どれも濃いめに淹れたが、味は「ほんのりあるかな?」という程度だ。
そして、使用するお茶によって大きく異なるのが、“香り”だ。
なかでも、記者が感動したのが「ウーロン茶×備蓄米」と「紅茶×備蓄米」の組み合わせだ。
紅茶で炊いた備蓄米は、色も黄金色できれいなうえに、サフランライスのようなコクが出た。スパイスを入れたようなエスニックな風味になり、いつも食べている白米とは全く別の食べ物という印象。あつあつの紅茶ご飯の上に、溶けるチーズをたっぷりかけて食べると、リゾットのようで美味!
ウーロン茶で炊いた備蓄米は、お米そのものに味の深みが出る。香りは6種類の中でいちばんよく、パリッとした味と香ばしい香りが楽しめた。北城さんもウーロン茶ご飯を薦める。
「脂っこい料理と一緒に食べると、より味が引き立ちます。ウーロン茶は香りを楽しむお茶なので、ぜひ香りも楽しんでほしいです」
アドバイスどおり、実際に豚の角煮をおかずにウーロン茶ご飯を食べたところ、見事にマッチ。濃いめの煮汁とウーロン茶の鼻に抜ける香りがとても合う。備蓄米が一気に格上げされた。
香りが比較的強めの紅茶やウーロン茶に比べ、緑茶・煎茶はクセが少なく、米の味も大きくは変わらない。備蓄米の雑味は完全に消え、食感も軟らかい。どんな食事にも合うという点では、献立に入れやすいだろう。
味も◎なお茶ご飯だが、おいしいだけでなく栄養面でもさまざまなメリットがあると語るのは、
料理家・管理栄養士の濱崎まゆこさん。
「お茶ご飯を食べることで手軽にカテキンが取れます。そのため、これからの季節に必要な免疫力も上がりますし、血圧が下がる効果も期待できます。また、お茶の香りは食欲を増進させたり、リラックス効果も。カフェインも取れるので、朝ごはんにお茶ご飯を食べれば、目覚めもすっきりしますよ」(濱崎さん、以下同)
濱崎さんのおすすめアレンジは、備蓄米・鮭・きのこを緑茶で炊く「緑茶炊き込みご飯」だ。
「緑茶にほのかな味があるので、調味料の量を減らしてもおいしく食べられます。緑茶の香りが鮭ときのこに絶妙に合うんです。お茶で炊くご飯は、お米に風味が出るので、おかずの塩分も自然に減らせて健康にもよいですね」
