さまざまなニーズに対応している最近の保険商品。一見、魅力的な内容かと思いきや、裏があることも多いという。 画像を見る

「日本人の8割が、生命保険に入っています」

 

そう言われたら、保険に入っていない人は焦るかもしれない。

 

「データとしては間違っていませんが、保険に入るかどうかは、その人の状況によります。鵜呑みにしてはいけません」

 

そう話すのはファイナンシャルプランナーで『NEWよい保険・悪い保険2026年版』(徳間書店)の著者、長尾義弘さん。

 

保険のセールストークは不安をあおったりお得感をくすぐってみたり、保険販売のテクニックが凝縮されている。素直に信じてしまうと、大損する危険性もあるという。そんな術中にはまらないように、長尾さんに注意すべき“売り文句”を教えてもらおう。

 

【売り文句(1)】「介護は何かとお金が必要。家族に負担をかけないために…」

 

中高年になると、不安になるのは認知症や介護の問題。親の介護に直面する人も多く、「この苦労をわが子にはさせたくない」と考える人に刺さる売り文句だ。

 

「そこで、最初に紹介されるのが“認知症保険”です。保障範囲が認知症に限られるため、60歳女性の保険料が月1,000円?と安くなり、勧誘しやすいのでしょう」(長尾さん、以下同)

 

ただ、介護に至る原因は、認知症が第1位とはいえ16.6%の割合にすぎない。第2位以下の脳卒中(16.1%)や骨折・転倒(13.9%)などはすべて、認知症保険では対象外だ(’22年、厚生労働省)。せっかく加入しても、使えないケースが多い。

 

「1人の介護にかかる総費用は平均542万2,000円」というデータもよく引き合いに出される(’24年度、生命保険文化センター)。だが、詳しく分析すると、お金をかけている人とかけない人、二極化が見えてくるという。

 

「介護は『どれだけお金がかかるか』ではなく、『どれだけお金をかけるか』がポイントです。自分がどんな介護を受けたいかで介護費用は変わります。保険加入を考える前に、どんな介護を望むのかから考えてください」

 

【売り文句(2)】「がんの先進医療は200万~300万円もかかります」

 

「がん保険を検討する人はがんそのものだけでなく、高額な医療費への不安も抱えています。そんな金銭的な不安をさらにあおって、保険加入へと導くフレーズです」

 

実際は、がんでもほかの病気でも「高額療養費制度」が利用できる。一般的な収入の人だと、医療費がたとえ月100万円かかったとしても自己負担は月9万円ほどで済む。年齢や年収によって負担上限額が決まっていて、それを超えた分は返金されるからだ。また、先進医療を行うのはごく希なケースで、一般的とはいえない。

 

「高額療養費制度など安心な情報には触れず、不安をあおるデータだけを紹介するのが典型例です」

 

【売り文句(3)】「たった月1,000円で、200万円の死亡保障がつきますよ」

 

定期保険の高齢者に向けたテレビCMなどでよく聞くセールストークだ。60歳女性の保険料が月約1,000円なら、「90歳まで30年分の保険料は36万円。死亡保障が200万円ならお得」と考えがちだ。

 

「その計算は違いますよ。定期保険ですから、満期ごとに保険料が上がります」

 

10年満期だと、60歳の保険料が月1,000円でも、70歳で月3,000円に、80歳以降は月9,000円と上がっていくものだ。

 

「更新は最長90歳まで」という保険も少なくない。その場合、自動更新によって30年間で払う総額は156万円にもなる。掛け捨てだから、90歳で存命なら156万円がムダに……。

 

「女性の平均寿命は87.13歳」というが、それは0歳児の平均余命だ。今80歳女性の平均余命は11.83年(’24年、厚生労働省)。つまり80歳で存命の人は平均で91.83歳まで生きる。「更新は最長90歳まで」という保険は、大損のもとかもしれない。

 

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