■生活が企業の販売戦略に取り込まれる
そして、ポイ活経験者が感じた「徒労感」の正体を、深野氏は「コスト感覚の麻痺」だとあっさり断じる。
「コンビニでポイントを貯めるために、スーパーで安く買えるものをわざわざコンビニで買う。そんな馬鹿げたことが横行していますよね。わずか数ポイントのために、数十円の損失を許容しているわけです。ビッグデータからユーザー心理を読み解き、企業側はじつに適切なタイミングで、クーポンやポイントアップを提示してきます。後藤さんがTikTok Liteのログインを日課にするように、日常の些細なすき間時間を、企業のアルゴリズムに差し出すことが習慣化してしまっている。生活そのものが、企業の販促戦略に取り込まれているんですよ」
こうしたヒートアップ状況に対し、前編では、ポイ活アナリストの菊地崇仁氏が防衛策として「50%・70%のパワーセーブ」を提唱している。これに、深野氏も同意する。
「菊地さんが言うように、あふれかえる情報の100%を追おうとすれば、どこかでほころびが出る。まとまったポイントほしさに、周囲に入会を勧めるなんて言語道断で、人間関係すらおかしくしてしまう。まずは情報の半分を捨て、管理をシンプルにしたほうが賢明です。ポイント付与条件が厳しくなったなら、そこでそのサービスはいさぎよく、あきらめる。複数のカードを持つことがストレスなら、メインの数枚に絞り込むとかね」
企業の経営判断でルールが変わった際、それに追従して自分の生活をさらに複雑化させるのは、愚の骨頂だ。自分なりの“引き際”を設けてポイントとつき合わなければ、その奴隷になってしまう。最後に深野氏は、こう言い切った。
「ポイントは、あくまで“おまけ”。それが生活の目的になった瞬間、じつは必要以上の支出を迫られている。ユーザーががんばればがんばるほど、企業側は販促費を抑えながら、効率よくデータを吸い上げられる。そういうカラクリのなかに、消費者は取り込まれているんです」
3兆円という巨大なポイント市場を支えるのは、少しでも得をしたい個人の執着をたくみにすくい上げる、企業側が策定したアルゴリズムだ。だが、この仕組みが生活の隅々にまで浸透している以上、もはや誰も無関係ではいられないのだ。
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