「これまで。保険ショップには批判も多く、なかには、顧客のニーズを無視して保険ショップがもうかる保険、つまり販売手数料の高い保険ばかり売るといったクレームもあり、問題になっていました。そこで、29日から保険業法が改定されます。法律の改正点と合わせて、保険選びについても見直しておきましょう」
こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。保険ショップとは、ショッピングモールなどに店舗を構え、さまざまな保険会社の保険商品を扱う代理店。保険ショップは、どの保険会社にも属さない相談員が、中立の立場で、顧客に合った保険を提案するとうたい人気を集めた。相談無料だが、保険会社から販売手数料を受け取り収益としている。
「今回、最大の改正点は、販売手数料を含めた情報の開示が義務付けられたことです。保険商品に関しても、金融機関にある投資商品などのパンフレットにあるように、手数料やリスクなどがすべて記載されることになります。これを見れば『販売手数料の高い保険を勧めるのでは』という疑問も、顧客がチェックできます。保険選びの不透明感をなくすためにも、意義のある改正だと思います」
だが、法律の改正だけで保険選びが安心になるとはいえない。自分に最適な保険を選ぶには、どんな保険が必要かを、自分で把握することがなにより大切だ。超低金利の今、保険は掛け捨てが基本。「保険はむずかしい」と思う人も、掛け捨て保険ならとてもシンプル。そのポイント2つを萩原さんが教えてくれた。
「1つ目は、亡くなったときいくら残したいか、つまり死亡保険金です。これを決める前に、保険以外で死亡時にもらえるお金などを整理します。生活費は遺族年金や死亡退職金などでなんとかなるでしょう。ただ、問題は教育費。子ども1人につき1,000万円を残す計算で、死亡保険金を考えましょう。2つ目は、病気になったときいくら必要か、医療保障です。私は、どんな病気にも対応できる医療保障が日額5,000円あれば足りると思っています」
保険の検討には、この2つ、死亡保険金と医療保障の日額を自分で決めて、保険ショップなどに行こう。
「これらを伝えて、保険をピックアップしてもらいます。受け取る保険金額が同じですから、そのなかから保険料の安いものを選べばいいのです」