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「今年は9月から全国の学校でインフルエンザによる学級閉鎖が報告されています。これは過去最悪の感染者数の昨年と同じ傾向。今年の冬も大流行が懸念されます」

 

こう話すのは、感染症にくわしい池袋大谷クリニックの大谷義夫先生。インフルエンザが猛威をふるった昨年の冬を思い出してほしい。罹患して、つらい思いをした人も多いのではないだろうか。

 

「今年は現在までA型だけが報告されていますが、昨年のように再びA・B型がいっしょに大流行する可能性も否定できません」(大谷先生・以下同)

 

じつはこの冬、そんなインフルエンザの常識が劇的に変わろうとしているのはご存じだろうか。

 

■画期的新薬誕生!

 

昨年度の抗インフル薬のシェアはイナビルとタミフルで約8割を占める。

 

「私のクリニックでは1回の吸入で効くイナビルを第一候補、吸入式薬が苦手という人には飲み薬のタミフルという順で処方していました。ただ吸入式薬は成分をすべて吸入できたかが不確実。飲み薬は1日2錠を5日間続けなければいけないのですが、熱が下がったところでやめてしまう患者さんもいて、治りきらずに周囲に感染させるリスクがありました」

 

そこに今年3月、まったく新しい抗インフル薬・ゾフルーザが誕生したのだ。

 

「従来のタミフルやイナビルは感染細胞内で増殖したウイルスが細胞外に飛び出ることを阻害する仕組み。これに対して、ゾフルーザは感染細胞内で遺伝子レベルに働いてウイルスを死滅させ、より早期の段階から感染を防ぐ仕組み。効き目が強いことから、飲み薬として世界で初めて1回飲むだけで治療が完了。熱が下がるまでの期間はタミフル同様、1~2日間を要しますが、効き目が強いため、服用後の周囲への感染のリスクも減少したと報告されています」

 

現在、発症後5日間、熱が下がって2日間と定められている学校への出席停止の日数も、この新薬の普及で短縮されることが期待されているとか。

 

「私のクリニックではすでに今年3月からこの新薬を処方していますが、結果は非常に良好。私のように、今年の冬はイナビルやタミフルに代わってゾフルーザを処方する病院が増えると思います」

 

もし、かかりつけの病院でイナビルやタミフルを処方された場合でも「ゾフルーザにしてほしい」と伝えれば、患者の希望に沿ってくれる担当医も多いはず。価格は1錠4,789円(窓口での支払いは3割負担の人で1,730円)。タミフルは10錠2,720円(同窓口で1,170円)と実質560円の差があるが、「飲み忘れのリスクや効き目、家族に感染させた場合の出費などを考えると、許容範囲ではないでしょうか」。

 

また新薬というと副作用が気になるところだが、発売元の塩野義製薬によれば、下痢の症状が出る人が約1%。ほかにはとくに副作用は報告されていないという。

 

「ただ飲み薬は嘔吐を伴う症状に不向き。インフルエンザ患者でもB型に限り2~3割が嘔吐を伴う消化器症状が出ます。こうした場合は吸入式薬が向いています」

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