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「高齢者が一度骨折をすると、クセになりやすいというのは定説です。特に注意すべきは背骨と股関節周辺の骨折でしょう」

 

こう話すのは、鳥取大学医学部保健学科教授の萩野浩先生だ。高齢になって足腰が弱くなると、ちょっとした動作で転倒し、骨折するのは体を支える中心部であることが多く、フレイル(虚弱)状態が進むため、治っても再び骨折する確率が高くなるのだ。

 

「たとえば、背骨を骨折した高齢者は、そうでない人に比べて4〜7倍、再び骨折しやすくなります。しかも、次に骨折するのは背骨だけでなく、股関節周辺であることも多いのです」(萩野先生・以下同)

 

一般的に股関節周辺の骨折は予後が悪く、長期間、寝たきりの生活を送ることになる。するとさらに筋力が落ち、自力で生活できなくなって介護生活に入る。ショッキングなことに、5人に1人が1年以内に死亡するという。

 

「骨折後、死亡までの期間が極端に短くなることを『骨卒中』と呼び、警鐘を鳴らしているのです」

 

60〜70代で背骨を骨折、その後、70〜80代で股関節周辺を骨折するというパターンが多く、また、3人に1人が生涯に1度は背骨の骨折を、5人に1人が股関節周辺の骨折を経験するという。

 

さらに、一度骨折をすると1年以内に再び、という可能性は非常に高く、少なくとも骨折後10年間はその影響が続く。

 

骨折予防には、日ごろから足腰を動かすことを意識することに加え、毎日の食事を見直すことが効果的。カルシウムをはじめ、タンパク質、ビタミンD、ビタミンKなど、骨と筋肉のもとになる栄養をとることで、丈夫な足腰はつくられる。

 

そこで、萩野先生が骨を強くする効果に期待大な最強のレシピを紹介。最強の組み合わせは「煮干しだし」+「ビタミンD」+「ビタミンK」だ。

 

■基本となる「煮干しだし」の作り方

 

煮干し適量をミキサーにかけて粉砕する(骨ごと食べられる小さめの煮干しなら、そのままミキサーにかけるだけで細かい粉末になり使いやすい。大きめの煮干しを使う場合は、半分に割ってわたを取り除くと、生ぐささや雑味がなく酸化もしにくい。密閉できるスクリュータイプのふた付きのガラスビンに入れ、冷蔵庫で保存するのがおすすめ)。

 

■サケの混ぜごはん

 

【材料と作り方/2人前】

炊飯器に米2合と同量の水、煮干しだし小さじ2を入れ、サケの切り身1切れをのせ、酒大さじ1、しょうゆ大さじ1を加えて普通に炊く。炊き上がったら、サケの皮と骨を取り除いてごはんと混ぜる。せん切りにした大葉5枚分と白ごま大さじ2を加えてさっくりと混ぜる。

 

サケには動物性タンパク質のほか、ビタミンDが豊富に含まれる。「煮干し粉と一緒にビタミンDをとることで、カルシウムの吸収力が上がります」(「」内、萩野先生・以下同)。また、ビタミンKは大葉で摂取できる。

 

■サバ缶のみそ汁

 

【材料と作り方/2人前】

鍋に湯400mlを沸かし、煮干しだし大さじ1、薄いいちょう切りした大根とにんじん各3cm分を入れてひと煮立ちさせる。サバ缶1缶(約200g)を汁ごとほぐし入れ、2〜3分煮て、みそ小さじ2を溶き入れる。仕上げに小口切りにしたねぎ5cm分、細かく刻んだ春菊2株分を加える。

 

サバにはタンパク質、リン、ビタミンD、カルシウムが含まれる。「缶詰のほうがカルシウム含有量が高く、また、リンも骨をつくるうえで大切な栄養素です」。ビタミンKは春菊で摂取。

 

■納豆の袋焼き

 

【材料と作り方/2人前】

(1)納豆1パックに煮干しだし小さじ1と1/2、卵黄1個、刻みねぎ5cm分、しょうゆ少々を入れてよく混ぜる。

(2)油揚げ1枚を半分に切って袋状に開き、(1)を半量ずつ詰める。両面にオリーブオイルを薄く塗り、フライパンかオーブントースターで軽くこげ目がつくまでこんがりと焼く。

 

「納豆には骨の質をよくするビタミンKが多く含まれています。納豆自体も良質な植物性タンパク質ですが、油揚げを使うことで、さらに相乗効果があります」。ビタミンDは卵黄で摂取。

 

■ブロッコリーとしめじのサラダ

 

【材料と作り方/2人前】

(1)ブロッコリー1株は小房に分けて下ゆでする。ひじき10gは水で戻し、手でほぐしたしめじ1/2パックと一緒にさっとゆでる。

(2)玉ねぎのすりおろし1/4個分、米酢大さじ3、しょうゆ大さじ1/2、みりん大さじ1、ごま油大さじ1、煮干しだし小さじ2を混ぜ合わせ、(1)をあえる。

 

「ひじきにはカルシウムだけでなく、骨をつくるためのマグネシウム、ビタミンKも豊富です。さらにブロッコリーのビタミンK、しめじのビタミンDが加わることで良質な骨をつくれます」

 

カルシウムたっぷりの煮干しは粉砕して“だし”や“ふりかけ”として手軽にとることができる。その際には、カルシウムの吸収を促すビタミンDとビタミンKをご一緒に。

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