「ポイント還元を導入する店舗が複数あるため、キャッシュレス決済で得られるポイントの還元率が2%、5%などお店によって異なるので、どこで買い物をしたらいいのかわからない、という声をよく聞きます。5%還元のドラッグストアで、洗顔料、シャンプー、ボディソープなど日用品のまとめ買いをした後に、別のお店の前を通ったら、そもそもの値段がそれぞれ100円近く安かったということも。還元率の高いお店で買うよりも、ポイント還元を実施していないお店のほうが安売りしているというケースもあるので、過度に還元率に振り回されないように気をつけたいところです」
そう話すのは、ファイナンシャルプランナーで、2人の子の子育て中の主婦でもある小沢美奈子さん。
今年10月から、消費税10%への引き上げと同時に政府の「キャッシュレスのポイント還元制度」がスタート。現金払いよりもキャッシュレス決済のほうがメリットが大きいとされるものだが、「おトクだと思っていたら、なんだか出費が増えて気づけば家計がピンチ!」と、主婦たちから悲鳴の声も上がっている。
一見便利で、メリットも多いとされるキャッシュレス決済だが、散財のきっかけとなりうる“落とし穴”が存在すると小沢さんは指摘する。
「ポイントもたまるからとまとめ買いをした結果、不要なものまで購入して結局損をする恐れがあります。ティッシュペーパー、歯みがき粉などは、ストックがあるとついつい使用量がかさんでしまうもの。基本的には必要なものはそのつど買うように心がけましょう」
店頭で紛らわしいのが、お店で実施する「ポイント倍増デー」。100円で1ポイント、1ポイントが1円に還元されるなどの仕組みがあるが、特定の曜日に買い物をすると、それが5倍、10倍とたくさんもらえる。
「また、『2,000円買ったらポイント8倍』などと、購入額に応じた特典もよくあります。その額まであと少しというときに、レジ前の小さなお菓子など、余計なもののついで買いをしてしまいがちです」
ネット通販の「○月×日△時までに購入で30%OFF!」などのキャンペーンも金銭感覚をマヒさせがち。そのときは満足感を覚える一方で、不要な出費がかさんでいることも少なくないのだ。
また、ファストフード店やカフェなどが独自に発行するプリペイドカードにも落とし穴が。
「3,000円チャージするとプラス100ポイント、ポイントがつく日にチャージするともっとおトク、といったサービスがありますが、2〜3年以内に使わないと残高が失効してしまうなど、有効期限を設けている場合があります。プリペイドカードを利用するときは、本当に使う頻度が高い店舗なのか、また有効期限についてもきちんとチェックしておきましょう」
クレジットカードの決済では支払い方法に注意。「一括払い」を選択した後、カード会社から、「今なら分割払いへの変更が間に合う」というメールが来ることがある。
「翌月の支払いが苦しいからといって、分割払いに変更してしまう人が意外と多いのです。クレジットカードで支払うときは、手数料がかからない一括払いが基本です。手数料がかかる分割払いやリボ払いなどは選択しないこと。ポイント還元どころか、将来の財布をどんどん圧迫させてしまいます」
キャッシュレス決済でトクしているという自信のある人も、無意識のムダ遣いに陥っていないか、一度支払い履歴と購入したものを振り返ってみよう。