「さらにコロナ禍で、ネットやスマホへの依存度の高まりや、運動不足もあり、若者から高齢者まで、老眼は加速度的に進んでいます」
こう話すのは、医学博士で眼科専門医の平松類先生。そもそも老眼とは、加齢に従い近くや手元が見づらくなること。これはピント調整能力が低下し、近くのものに焦点が合いにくくなる目の老化現象だ。年齢的には、45歳がひとつの目安だが、個人差もあると平松先生はいう。
「自分が老眼になっているかどうかわからないという方も多くいらっしゃいますが、チェックは簡単。左右の目の間の中心地点に自分のひとさし指を添え、だんだん指を遠ざけていき、30センチより離れてはっきりしてくるのであれば、老眼を疑ったほうがいいでしょう」(平松先生・以下同)
ものを見る構造として、目の中には水晶体があり、手元を見るときは水晶体を厚くし、遠くを見るときは薄くし、ピントを調整するしくみだが……。
「厚くしたり薄くしたりする筋肉を毛様体筋といい、これはカメラのオートフォーカスのような役割です。レンズの周りに円周状に筋肉がついていますが、体と同様に加齢とともに凝り固まり、ピント調整力が衰えます。これが老眼の原因となるのです」
加えて、加速度的にデジタル機器が普及。光の集合体であるモニターを見続け、目を酷使するので、若い人でも老眼は珍しくないのだそう。
平松先生は、高齢者にはさらに注意すべき点があるという。
「物が見えづらいことから本や新聞も読まず、目からの刺激が入らないことで、脳の機能も老化します。これを放置しておくと、認知症になりやすいことがわかっています」
「女性自身」2020年11月10日号 掲載