「『不思議、老眼鏡なしで文庫本が読めちゃった!』、『前より周りが見えやすくなった』、『最近、目が疲れていない』。私のところに、いま主婦たちの間で、老眼が改善したという報告が続々と寄せられています」
そう話すのは、医学博士で眼科専門医の平松類先生だ。それもレーシック手術を受けたわけでも、視力回復センターに通ったわけでもない。なんと、100円均一ショップで売っている普通の老眼鏡を、1日5分かけるだけで、老眼が回復するのだという。
近年「縞模様」を見るだけで視力向上を目指す「ガボール・アイ」という視力回復方法も注目され、視力が平均で0.2度上がる科学的データも示されている。平松先生がこの方法とともに勧めるのが、即効性がある100均老眼鏡を使う改善法だ。
ものを見る構造として、目の中には水晶体があり、手元を見るときは水晶体を厚くし、遠くを見るときは薄くし、ピントを調整するしくみだが……。
「厚くしたり薄くしたりする筋肉を毛様体筋といい、これはカメラのオートフォーカスのような役割です。レンズの周りに円周状に筋肉がついていますが、体と同様に加齢とともに凝り固まり、ピント調整力が衰えます。これが老眼の原因となるのです」
老眼を予防、改善することは、生活の質を保つうえで極めて大切だ。それが100均メガネで改善するのならうれしい限りだが、いったいどのようなメカニズムなのだろう。
「この方法は、100均メガネをかけることで、凝り固まっていた毛様体筋をゆるめ、柔軟性をよみがえらせます。それによって、ピント調節がスムーズに行われるようになります。目のピント調節力がよみがえることで、凝り固まりを原因とする老眼や近視も改善します」
ここで筋肉をほどよくゆるめることができるのが「2.0度」の老眼鏡なのだということ。
「この場合、遠くをぼやっと見せて、目をリラックスさせることがポイントなのです」
これは眼科の度数検査などのときに実施される、台に顎をのせ、ぼやっとした気球や家を見る「雲霧法」という検査と同じ原理だ。
「雲霧法は、視界をぼやけさせ、目をリラックスさせて視力を測ります。同様に、2.0度のメガネをかけることによって、まったく見えないわけでも、よく見えるわけでもない“ほどよく見えない”状態を作り出すのです。それが、毛様体筋をゆるめるのに効果的なのです」
1日5分、「2.0度」の100均メガネをかけて、2〜3メートル先をぼんやり見て、5分待つ。視界がぼやっとするが、目を閉じないこと。ぼんやり見るコツがつかめないときは、2〜3メートル先にポスター等を貼って見るとやりやすい。
また、次の目の周りの血流を促す「マッサージ」や「ホットアイ」を併用することで、さらに効果的に視力を回復させることができる。
【まぶたを上下にやさしくさする】
まぶたの上下に走るマイボーム腺に沿い、両手のひとさし指、中指、薬指の3本の指で上から下、下から上に向けて軽くマッサージする。まぶたの脂を押し出すように優しくさする。この腺から分泌する脂をスムーズに分泌させると、涙の質が改善され、視界がクリアに。各10回。
【目頭から目尻に向かってさする】
目の周りの骨に沿って、目頭から目尻に向けて軽くマッサージ。老廃物を流すイメージで
両手の中指でやさしくさする。眼球を圧迫させず、アイメークをきちんと落として行うこと。各10回。
【ホットアイで目の血流を改善】
タオルを水でぬらして軽く絞り、形を整えて電子レンジで温める。600ワットで40秒程度、40°C程度が適温。タオルは2本用意し、あおむけになって軽くまぶたを閉じ。ホットタオルをのせて温める。冷めてきたらもう1本と交換し、再度温めることで毛様体筋をゆるめる。タオルが熱すぎるなら適温に冷ましてのせる。
この方法で目の周りの血流が改善し、老廃物がきれいに流されることで涙の質も改善し、毛様体筋がゆるみピント調節機能も向上する。仕事の小休止タイムに、入浴後、就寝前などに。1日2回。1回各5分、トータルで10分くらいが目安。
「毎日続けた場合、1カ月前後で効果を実感する人が多いです。5分以上行っても効果は変わりません。個人差があるので、なるべく毎日続けることが大切です」
「女性自身」2020年11月10日号 掲載