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「がん告知を受けると、精神的苦痛はもちろん、その後は経済的な不安も押し寄せてきます。どんな治療が待っているのかも想像がつきません。お金がいくらかかるのかも未知の世界。そんなとき心強いのはがん保険ですが、どんな保険を選ぶかは『診断一時金』の手厚さも判断基準になります。診断一時金は健康保険のきかない差額ベッド代などの治療費だけでなく、仕事を休んでしまった場合の生活費などにも、自由に使えるところが最大のメリットです」

 

こう話すのは、公平な視点で保険をジャッジし『商品名がズバリわかる! 保険こう選ぶのが正解!』などの著書もあるファイナンシャル・プランナーの横川由理さんだ。新型コロナウイルスの収束の兆しも見えないなか、がん医療は、どうなるのか。

 

「日本対がん協会の各支部への調査によると、検診でコロナに感染することへの懸念もあって、がん検診者が例年に比べて3割以上減っている。このままでは、来年以降は、抱えているがんが進行した状態で発見される人が続出する恐れがありそうです。がん保険を検討するタイミングでもあるかもしれません」(横川さん・以下同)

 

では、どんながん保険がいいのだろうかーー。

 

「がん保険といってもさまざまなタイプがあります。診断一時金を1回受け取ったら保険が終了してしまうものから、がんが再発するたびに何度でももらえるものまで。がんになったらどんな治療が受けたいかという自分の価値観に合った保険を選ぶ時代です」

 

横川さんは、従来の医療保険に対しては「現金で貯めておいたほうがおトクなケースが多い」という慎重派だが、病気をがんだけに特化しているがん保険は、医療保険より月額保険料が安く抑えられるおすすめ商品もあるという。

 

月額保険料は、外食ランチ1~2回を我慢すれば払える程度の額、と横川さんは語る。実は自身も6年前、診断一時金300万円が受け取れる保険に加入したという横川さんが、今回は読者に向けておすすめベスト5を紹介してくれた。

 

「がん治療は日進月歩。治療法が進歩する代わり、保険や貯金ではカバーできない高額な治療方法も出てきていますから、保障内容もそれに伴い、進化しています」

 

さらに、最近は、がんであっても入院日数が短くなっていることから、入院給付金をつけず、高額医療をカバーするべく、診断一時金に、自由診療や先進医療の特約だけプラスできる商品もおすすめであると横川さんはいう。

 

今回のチョイスの基準は、40歳・50歳の女性が、がんと診断されたとき、診断一時金100万円が支払われることを想定して試算した。

 

「ベスト5はそれぞれ保障内容・条件が異なります。月額保険料がお手ごろのものであれば保障内容は薄くなり、保障が手厚く、使い勝手のよい内容であれば、それなりの保険料になります。要はその保障が自分に必要であるか否か、判断することが大事です」

 

その上で5つの保険を1位から順にチェックしていこう。

 

【1位】三井住友海上あいおい生命『&LIFEガン保険スマート』

 

がん保険の診断一時金は上乗せも可能だが、大抵のがん保険は300万円まで。この保険なら800万円まで可能だ。

 

「がんになったならそれまでの人生を見直してゆっくり休養したい、念願の海外旅行もしてみたいという人は、検討の余地がありますね」

 

さらにこの保険は、入院の短期化に応えて日帰り入院でも「一律5日分」が保障されるという手厚さ。同社はこうした保障の拡充に加え、保険料の面でも他社に比べて、競争力を高めて商品を開発しているというから、検討する価値はありそうだ。

 

【2位】FWD富士生命『FWDがんベスト・ゴールド』

 

診断一時金は年1度、何度でももらえて、がんと診断されたら以降の保険料は免除に。

 

「がんは再発・転移の可能性があるので、診断一時金をどれだけの頻度でもらえるかは重要です。この保険は、初回の診断から1年たっていれば、再発された場合、何度でももらえます。がんと診断されたら、生活に支障をきたすことも多いので、以降の支払いが免除される機能は大きなメリット。また自由診療による高額な抗がん剤治療(上限3,000万円)や先進医療(同2,000万円)など特約の充実度も検討材料になります」

 

【3位】チューリッヒ生命『終身ガン治療保険プレミアムDX』

 

「昔からがん保険に定評のあるチューリッヒ生命ですが、これは、放射線治療、抗がん剤、ホルモン剤治療を受けたら、月額10万円が支給されるという、治療に重きをおいている商品です。一時金も大事だが、標準治療である三大治療もしっかりカバーしておきたい人向け。いま50代前後に増えている乳がんの場合、ホルモン療法を長く続けるケースもあるので心強いですね。診断一時金は特約として付けるタイプで、再発した場合には、2年に1度支払われます」

 

【4位】SBI損保『SBI損保のがん保険 自由診療タイプ』

 

診断一時金は、再発までの間が2年あれば、2年に1度払われる。自由診療もカバーされるので(将来登場するがん治療に備えた)未来対応型だ。

 

「初回の診断一時金をもらって再発までの期間が2年あれば、再発するごとに、何度でも一時金がもらえます。この商品は5年ごとに保険料が上がってしまいますが、かかった分だけ支払われる実額補償型ということがメリットです。健康保険のきかない抗がん剤治療など自由診療でかかる費用がカバーされます。最新のがん医療に対応しているので月額保険料はそれなりですが、どんながんにかかっても、一時金が支給され、最善の治療を選びたいならいいかもしれません」

 

【5位】ライフネット生命『がん保険 ダブルエール シンプル』

 

診断一時金のみの保障。まさにシンプルで、保険料を払うような予算のない人向けだ。

 

「月額保険料はちょっと張り込んだランチ1回分程度です。蓄えがあまりなく、がん検診もろくに受けてこなかった人が、いま入っておきたい場合におすすめ。一時金が100万円では足りないという人は、300万円まで上乗せできます(保険料は約3倍になる)。ただし上皮内がんと診断された場合、一時金は半額(100万円なら50万円)になりますが、その後悪性がんと診断された場合は別途一時金(100万円)も保障されます」

 

そもそもがんには命を落とすことはほぼない上皮内がんと、命をおびやかす悪性がんがある。上皮内がんは、転移も起こらず、治療も大掛かりにならないため、がん保険では、上皮内がん(前がん状態)の場合、診断一時金が減額になるタイプの商品があることも、チェックすべき点だ。

 

どれを選ぶかは、毎月どれだけの保険料を支払えるかと、そして、がんになったらどんな治療を受けたいか、その人の人生観によって決まってくるだろう。いずれにせよコロナにも気をつけながら、がんにも備えておきたい。

 

「女性自身」2021年1月19日・26日合併号 掲載

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