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海外の演奏家や芸術家の間でよく知られた言語療法「アレクサンダー・テクニーク」。それをもとに、理学療法士が独自に作成した魔法の言葉を紹介。

 

「体調不良や病気のほとんどは姿勢が影響しています。しかし、無理に体を動かそうとするのはかえって逆効果。無理をしなくても、言葉を使って体を整えることができます」

 

こう話すのは、理学療法士の大橋しんさん。大橋さんは、これまで、臨床の現場で、「特命理学療法士」として、言葉を駆使して多くの“難治性”とされる患者さんたちの体調や精神状態を整えてきた。

 

「私が使っているのは、海外の演奏家や芸術家たちの間ではよく知られたアレクサンダー・テクニークという言語療法です。私自身、20代のときにチェロでドイツに音楽留学をしたときに、この療法で長年悩まされていた背中の痛みが改善された経験があります。実はこれがきっかけで治療家に転身し、今では理学療法士として現場で活用しています」(大橋さん・以下同)

 

大橋さんはこれまでの臨床現場での経験から、患者さんにある共通点を見いだしているのだという。

 

一般的には、緊張をほぐすためにストレッチやマッサージをするという発想になりがちだ。しかし大橋さんは、「姿勢をよくしたいときや不安やプレッシャーを感じたときほど、力を抜き、体を緩めることが大切」と断言する。

 

ここで大橋さんが提案するのが「『魔法の言葉』を発声する」こと。

 

まったく体を動かさなくても、魔法の言葉を音にして言うことで体が緩まり、自然と姿勢を正すことができるようになるのだという。

 

「発した言葉を脳がキャッチして脳から体に指令が送られ筋肉が緩むことで、骨が本来あるべき位置に自然と整うからです」

 

■黙読より実際に声を出して唱えたほうが効果は早い

 

それぞれの不調に対する魔法の言葉があるが、黙読より実際に声に出して唱えたほうが、変化が起こるのが早いという。

 

ここで紹介する言葉を唱えるにあたって、回数や時間や姿勢など特別な決まりはない。立っているとき、座っているとき、一日のどの時間に行ってもいい。

 

【免疫力アップ】魔法の言葉《歯茎に血液が通い、舌はおもちのようにふっくらしています。》

 

「無意識のうちに歯を食いしばっている人が多いようですが、歯茎の血流が滞ったり、唾液が少なくなる原因にもなります。唾液が少ないとドライマウスや免疫力低下につながりやすいので、舌のこりをほぐし、口の中の血流を改善し、唾液の分泌を促しましょう」

 

舌のこりは、嚥下機能を低下させることにもつながるそう。

 

【ストレス、自律神経失調】魔法の言葉《胸と背中が広がり、呼吸がさざ波のように行ったり来たりしています。》

 

「呼吸が波のように寄せたり引いたりし、胸の空洞が浮いたり沈んだりするのをイメージしてください。体の前面だけでなく、背面も緩めることで、胸が広がり、呼吸時に肺に空気がたくさん入るようになります。胸と背中を緩めながら広げていくとストレスも軽減されて、自律神経も整います」

 

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