「10月からうどんやパスタ、小麦粉、コーヒー、マーガリンなどが数%~30%も値上がりしています。さらに原油価格の高騰で、電気料金も値上げ、1リットルあたりのガソリン価格は過去最高水準です」
こう語るのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんだ。
10月25日には、5都府県で続いていた飲食店への営業時間の時短要請が解除され、本格的に経済活動が再開した。
これまで行動を自粛していた人のなかにも、外食や旅行などの活動を再開した人は多い。こうした一斉値上げや“反動消費”は私たちの家計に大きな影響を与える。
「特に、帰省や忘年会、年始の準備など、なにかと支出の多い年末の影響は大きくなるでしょう。生活費の支出は、昨年と比べて、20%近く増えると予測しています」(柏木さん・以下同)
12月の支出で考えてみよう。昨年の50~59歳までの働いている世帯の12月の消費支出の平均は36万4080円(総務省「家計調査」’20年12月より)。自粛の影響で、例年より3万円近く安かった。
ここから住居費や教育費、医療費など値上げと関係ない支出を引くと、30万8907円となる。仮に20%支出が増えるとしたら、およそ6万2000円の支出増に。
「かなり厳しい数字ですが、ちょっとした工夫を積み重ねることで、支出増をカバーできます」
そこで、コロナ自粛明けの今こそ取り入れたい支出減の新習慣を教えてもらった。
【ワクチン接種証明書の割引を活用する】
〈方法〉:接種証明書の提示で会計の割引や、ドリンク1杯無料などのサービスが。有効活用しよう
〈削減金額〉:月5,000円減
地元の商店街やチェーン店などは、ワクチン接種証明書の提示によるサービスを開始している。
「たとえば居酒屋のワタミでは来店時のドリンク1杯が無料になりますし、カラオケ館では室料が10%オフに。個々の金額は小さいですが、積み重ねていけば5,000円ほど得することができるでしょう」
ほかにも宿泊費の割引を行っているホテルなども。今後もサービスは拡大していく見込みなので、できれば接種証明書を持ち歩こう。
【Go To Eatで年末外食費を削減する】
〈方法〉:年末になると外食の機会が増える。一部自治体では再開が始まっているので活用しよう
〈出費品目/出費額※〉:外食費/月1万7,198円
〈削減割合/金額〉:25%減/4,300円減
外食の機会が多い年末。
「ぜひ、利用したいのが、コロナ禍で打撃を受けた飲食店や農家を応援するGo To Eat。たとえば、1 万2,500円分の食事券を1万円で購入できるなど、25%も得なんです」
今年1月まで発売されていた東京都の食事券の使用時期は、12月15日まで延長されている。また、埼玉県などで第2期の販売が始まるなど、再開の方向だ。
コロナ禍前の’19年12月の外食費用は平均1万7,198円。25%減らせれば、4,300円の削減となる。
※出費額は総務省「家計調査 世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出」より、コロナ前の2019年12月「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」の世帯主の年齢が「50~59歳」のものを使用。