気温の差や入浴前後の体温の差などが原因で起こる突然死。一般にヒートショックとも呼ばれる現象を避けるには、日ごろの食事から健康な血管を鍛えることが大切だーー。
急激な寒暖差に「体がついていかない」という人が増えている。
「これから一段と寒さが厳しくなり、つい先ほどまで元気だった人が突然倒れて帰らぬ人となるといった“突然死”に見舞われる可能性が高くなるので気をつけましょう」
そう注意を促すのは、循環器専門医で池谷医院院長の池谷敏郎先生。突然死とは医学的に、「瞬間的な死亡もしくは直接の死因となる症状が出現してから24時間以内に亡くなること」を指す。具体的には、心筋梗塞、心室性不整脈、大動脈破裂、脳卒中などがその原因となる。
「これらの病気の共通点は、血管トラブルを起こしていること。年齢とともに血管が老化してくるだけでなく、高血圧、高脂血症、糖尿病といった生活習慣病を抱えていますと、動脈硬化を引き起こしそれがもとになって血管事故、突然死を招く可能性が高くなります。命が助かったとしても、その後寝たきりや認知症の原因にもなり、自分の力で生きる“健康寿命”に大きな影響を与えてしまいます」(池谷先生、以下同)
突然死を起こす発火装置は血圧の急上昇。暖かい場所から急に寒い所に移動するとき、入浴時に寒い脱衣所から熱い湯船につかるときはヒートショックでかなり血圧が上昇する。このほかにも、夜中のトイレ、朝のゴミ出しなど危険な場面があるという。
「ふだんから血圧を測定してご自身の体調を把握することが大事です。冬場には高くなりやすいので、毎日測定を習慣づけると安心できます。朝起きて1時間以内、朝食前に2回測定し、2回とも上の血圧(収縮期血圧)が135mmHg、下の血圧(拡張期血圧)が85mmHgを上回ったら病院でしっかり診てもらいましょう。特に若いころは低血圧で悩んでいた人でも、更年期以降になると高血圧症になる人が多いので気をつけましょう。高血圧は症状が出にくいので、見過ごしてしまう傾向があるので注意が必要です」
突然死を防ぐためには、ふだんから血管の状態をよくする“血管力”を鍛えることが大事で、池谷先生がすすめているのは食生活の改善。塩分控えめだけでなく、「最近太った」という人は、1~2カ月かけて体重を元に戻そう。