「最近、交通事故は減っていますが、自転車が絡む事故は高止まり。すべての交通事故に占める割合も2016年の32.1%から2021年は43.6%と上昇が続いています。
しかも、死亡・重傷事故の約78%で自転車側にルール違反がありました(警視庁)。このための取締まり強化でしょう」
そう話すのは自転車文化センターの学芸員、森下昌市郎さんだ。
森下さんによると10月末以降も法律自体は変わらないという。
以前から自転車に違反があれば「警告」か、悪質な場合は刑事罰を伴う「赤切符」を切る。赤切符や事故が3年間に2回以上あると、「自転車運転者講習」を受けなければならず、受講しなかった場合は5万円以下の罰金を科していた。
「これまで赤切符はまれで、ひどいルール違反でも警告で済むことが多かったと思います。でもそれでは事故が減らないので、今後は、赤切符をもっと切って厳しく取り締まるのでしょう」(森下さん)
特に【1】信号無視、【2】一時不停止、【3】右側通行、【4】徐行せずに歩道を通行、の4つは重大事故につながる危険性が高く、違反があれば赤切符の可能性が高いという。
生活に欠かせない自転車を安全に乗りこなすため、以下の〇×クイズで交通ルールをチェックしよう。
【Q1】夜間で車も人も見当たらない。赤信号だけど渡っちゃおう
【A1】もちろん×
ポイントはどの信号に従うか。基本的に自転車は車の仲間だから車道の信号に従うが、歩行者用信号機の横などに「歩行者・自転車専用」という補助標識があれば歩行者用信号機に従う。
【Q2】「止まれ」の標識で減速し、左右を確認して通行した
【A2】×
自転車は車と同様、交通標識に従わないといけない。「止まれ」で自転車は、停止線のある場所で足をついて止まらないと、一時停止違反で赤切符を切られるかも。
【Q3】車との接触が怖いけど、自転車は車道を走るもの
【A3】原則は〇
ただし「自転車通行可」と示された歩道や、一般の歩道でも13歳未満や70歳以上の人などは歩道を通ってもよい。ただ歩道では、自転車は必ず車道側を徐行しなければならない。人を縫うように歩道を爆走すると赤切符の対象になる。
【Q4】踏切で警報音が鳴り始めた。遮断機はまだ下りてないけど、止まって待とう
【A4】〇
警報音→入口側の遮断機→出口側の遮断機の順に作動するが、警報音の段階で踏切には侵入しないように。
【Q5】一方通行の道。自転車は逆行しても問題ない
【A5】原則は×
一方通行の逆行ルートには「進入禁止」の標識があり、自転車も従わねばならないが、標識の下に「自転車は除く」と記載されていれば、自転車の通行はOK。その際は左側を走ろう。
【Q6】道路の右側にあるお店に行きたい。でも、左側通行を守らなきゃ
【A6】〇
右側通行は車で考えると「逆走」。左側通行のルールを守った自転車との正面衝突や、信号のない交差点で右側から侵入してきた自動車と出合い頭でぶつかることも。右側通行は重大事故につながる危険性があり、赤切符の可能性も。
【Q7】お酒を飲んだら車に乗れないが、自転車なら大丈夫
【A7】×
自転車は軽車両として車と同じ扱い。飲酒運転は重大な法律違反。
【Q8】ブレーキの調子が悪いけど、まだ効かないわけじゃない。修理の時間ができるまで、そのまま乗っていても平気?
【A8】×
調子が悪いと気づいた段階で即修理を。整備不良はルール違反。
【Q9】子どもが自転車に乗るときのヘルメット着用は義務である
【A9】○
さら2023年以降、全国ですべての自転車利用者に、ヘルメットの着用が努力義務に。自転車による死亡事故の7割は頭部に致命傷を負っているというデータも。
【Q10】雨が降ってきた。傘の固定具を使えば、傘をさして自転車に乗ってもよい
【A10】×
傘をさし片手で運転するのはもってのほかだが、固定具を使っても、傘で視界が遮られたり、風の影響や障害物などに引っかかって転倒する危険性はある。傘は固定具を使ってもNG。
一つ間違えれば自転車だって立派な凶器となり得る。ルールを守って乗りましょ!