6月11日、北海道を除く全国で梅雨入りし熱中症が心配な時季になりました。熱中症での救急搬送は5月以降6月11日までに5052人。昨年の同時期より約900人多い状況です(総務省消防庁)。
そんななか、熱中症に備える保険が登場しました。特に注目されているのは、PayPayアプリ内で申し込める「熱中症お見舞い金」という保険です。加入した方が熱中症になり病院で点滴治療を受けた場合に最大1万円、1泊2日以上の入院をした場合に最大3万円が受け取れます。契約は月単位か日単位かを選べて、月単位だと契約期間は毎年4月~10月末までの最大7カ月間、保険料は月200~240円です。また日単位だと契約期間は1~7日間、保険料は日100円~です。
セールスポイントは3つです。
(1)加入手続きは、PayPayアプリ内の保険リストから選択し、数回タップするだけ。保険料はPayPay残高で払えます。
(2)1日100円~と保険料が安いうえ、午前9時までに加入手続きを行うと、その日の午前10時から保障が始まります。屋外で長時間過ごす日の天気の状況を確認してから加入することもできます。
(3)保険金の請求はPayPayアプリ内で、医療機関が発行する領収証と診療明細書を写真撮影し、アップロードすればOK。最短で請求当日に保険金が受け取れます。’22年4月に販売開始し、昨年の加入件数は6万件超といいます。
■安価な保険料もばかにならない
ほかにも、損保ジャパンの「THEカラダの保険」や三井住友海上の「GKケガの保険」など総合的な傷害保険に、熱中症補償の特約を付けられるものもあります。環境省によると、例年熱中症の患者は年約30万人で、うち約1千人が死亡しています。そう聞くと不安に思い、「100円なら」と安易に加入する方がいそうですが、加入は慎重に考えましょう。
(1)医療保険に加入中の方は、熱中症がカバーされているか確認を。1泊2日の入院なら、入院給付金が受け取れる医療保険が多いと思います。重複して保険加入する必要はありません。
(2)そもそも熱中症で点滴治療を受けるのは相当ひどい状態です。日本の人口を1億人として概算すると、救急搬送される年30万人は0.3%とレアケース。そのための保険は必要ですか。
100円だから「お守り代わりに」と加入する方もいるかも。ですが、保険に加入したからといって熱中症にならないとは限りません。保険加入より、水分補給など熱中症にならない対策を実践すること、特に高齢者は室内での熱中症が危険なので、エアコンなどを利用して室温を下げることが大切です。
保険は上手に利用したいもの。「不安だから保険加入」と頼ってばかりだと、たとえ安価な保険料でもちりも積もれば山となります。本当に自分に必要かどうか、今一度考えましょう。