物価高を前に「今年こそは収入を増やして、家計の足しにしたい」と考えている方も多い。収入を増やすには、働く時間を長くするか、賃金を上げるしかないが……。
「賃金を上げる近道のひとつは資格を取ることです」と、アドバイスしてくれたのは、のべ7千人の相談を受けてきたキャリアコンサルタントの山脇文子さんだ。
そこで、山脇さんに、未経験の50代の人なども努力次第で短期間に取得できて、確実に収入アップにつながる資格を教えてもらった。
■資格の取得に政府の補助が出る
資格取得までのハードルが比較的低く、かつ確実に仕事につながるのは“介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)”や“認定ベビーシッター”などだ。
「両方とも資格がなくても仕事に就けますが、基礎知識を習得してから就活したほうが自信を持って臨めますし、時給アップも見込めます」(山脇さん、以下同)
利用者宅を訪問してケアを行うホームヘルパーの場合、時給の相場は約1300円〜。1日2件訪問し、(一件につき約1時間)週3日働いたとすると、年間約37万円得られる計算だ。また、介護施設等で一日7時間、週3日働いた場合は、年収約120万円が見込める。
「もう少し稼ぎたい、という方には、キャリアアップなどに関する相談を受ける“キャリアコンサルタント(CC)”や、家計についてアドバイスする“ファイナンシャルプランナー(FP)”の資格がおすすめ。CCの場合、ハローワークや若者を支援する窓口など、行政の求人も多く、1日数時間で“時給5千円”という条件のよい求人も出ることがあるので、短時間で効率よく収入アップが見込めます」
自分には経験がないから、と尻込みする必要はないという。
「CCの場合、厚労省が定める150時間の研修を受ければ受験資格が得られます。家事やお仕事をしながら週末だけ学ぶこともできますし、集中すれば最短で2〜3カ月で受験資格を得ることができます」
FPの場合は、独学でも受験可能。エンディングノートの作成などをアドバイスする“終活アドバイザー”と併せて取得すると、さらに雇用の場が広がりそうだ。
加えて、CCやFPの資格を取っていれば、オンラインを活用して自宅でも仕事ができるという。
「日ごろから、SNSやブログで『こういう相談を受けたり助言ができます』と宣伝していれば、少しずつ依頼が増えてきます。LINEやZoomといったビデオ通話アプリを使えば、日本全国の方からお仕事を得ることもできます」
仮に、相談料を1回(約90分)1万5千円と設定して、週2回相談を受けたとすると、月額12万円。年間約140万円の収入となる。安定した収入につながるのが“医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)”や、一般用医薬品を扱うための“登録販売者”資格。
「医療事務は慢性的な人手不足ですから、資格を取得すれば仕事につながりやすい。また、登録販売者は、薬剤師ほど難易度は高くなく、コンビニやスーパーなど医薬品を扱っている店では必要なのでニーズは高いでしょう」
また、「運転に自信がある」という方は、バス運転手になれる“大型自動車二種免許”もよい。都心でも地方でも人手不足なので、確実に仕事が得られるだろう。気がかりなのは、取得に必要な費用だ。
「約20〜70%の費用が返還される教育訓練給付制度を活用してみましょう。原則として、現在、あるいは過去1年以内に雇用保険に加入していたなど条件がありますが、雇用保険に加入していない方でも利用できる求職者支援制度を活用して受講できる資格もあるのでハローワークに確認してみましょう」
いずれの資格も、賃金アップや働き方の拡大で年収100万円アップも不可能ではない資格。ぜひ、検討してみよう!