気象庁によると紫外線の観測値はすでに「強い」ゾーンに突入! 顔や体ばかり日焼け対策をして“唇”のUVケアを怠っていると思わぬ事態に! 実体験を基に注意点を医師に聞いた。
■紫外線浴びすぎで口唇ヘルペス顔面麻痺に
「朝の洗顔をしているときに、片方の目が閉じられなくて、うがいをしようとした水が口からこぼれて……。脳神経の異常かと思ってすぐに病院に行ったら、口唇ヘルペスによる顔面神経麻痺だと。『あの口内炎のようなヘルペスが?』と医師の顔を二度見しました」
そう語るのは、5月初旬に、神経がダメージを受けて顔の筋肉が動きづらくなる「顔面神経麻痺」を患ったA子さん(52)。
その予兆はあった。
「顔面神経麻痺になるちょっと前に、口の中に水ぶくれができ、なにか食べたものでやけどをしたのかなと放っておいたんです。その後、耳の後ろがピリピリと痛かったんですが、仕事が忙しかったのと義父の介護が重なったストレスなのかなと思って病院には行きませんでした。でも実際は、口唇ヘルペスの症状だったようで、そのウイルスが顔面神経麻痺を引き起こしたのだと医師から説明を受けました」(A子さん)
顔面神経麻痺の原因となった口唇ヘルペスについて、内科医でナビタスクリニック川崎院長の谷本哲也先生がこう解説する。
「口唇ヘルペスとは『単純ヘルペスウイルス1型』によってもたらされる感染症です。唇やその周辺に違和感やピリピリした感覚があり、最初は気のせいと思っていても、次第に小さな水ぶくれやただれ(びらん)ができ、痛みやヒリヒリ感が加わってきます。日本人の10人に1人は発症したことのある身近な病気です」
口唇ヘルペスは、ほとんどの場合、発症から7~10日で症状が治まるという。治療にはウイルスの増殖を止める作用がある抗ウイルス薬や塗り薬が使われる。
「健康な人にとって口唇ヘルペスは一時的な症状に過ぎませんが、免疫が低下している場合には、活性化したウイルスが顔面神経に炎症を起こし、顔の片側の麻痺を招くことも。また目に感染が広がれば失明の原因になる『ヘルペス性結膜炎』になったり、脳に感染が及んで致死率20%の『ヘルペス脳炎』になったりすることもあるのです」(谷本先生、以下同)
