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「2020年の菅(義偉)政権による圧力で携帯料金は大きく値下がりしましたが、いよいよ携帯料金も値上げ競争に突入しました」

 

そう語るのは、4年間の芸人活動と7年間の携帯電話ショップでの勤務経験を生かして、スマートフォンアドバイザーとして活躍しているモバイルプリンスさん。

 

値上げ競争の先陣を切ったのはNTTドコモ。4月24日に料金プランの改定を発表した。

 

メールや動画視聴などで消費されるデータ通信量が無制限の主要プランを刷新し、これまでより約1,000円の値上げになる。

 

その後、5月7日には、KDDIがメインブランドのauやサブブランドのUQモバイルの値上げを行うことを発表。

 

新料金プランは既存のプランから550円の値上げになる。

 

さらにソフトバンクも今後値上げを検討しているという……。

 

この相次ぐ大手キャリアによる携帯料金の値上げについて、モバイルプリンスさんが解説する。

 

「電気代や人件費が上昇しているなか、これまでの“官製値下げ”を続けていては立ち行かなくなったということです。その一方で、国民の9割以上の人が持っているスマホは品質が均一化され、価格競争以外の売りが乏しい状況。

 

そんななか、ドコモは新たなメインプランで、単体契約では月額4,200円のスポーツ動画配信サービス『DAZN』を無料で視聴できる特典を。一方、auは、衛星通信網『スターリンク』とスマホの間で通信を行うサービスや混雑するときでも通信品質を高めるサービスを開始。

 

今後もエンタメを充実させたり、通信の質やサービスを強化したり、付加価値をつけて他社との差別化をはかりつつ料金を上げていく狙いです」

 

これまで3,000人以上の携帯料金の見直しをしてきた「携帯見直し本舗」代表の鮎原透仁さんは、今回の値上げをこう見ている。

 

「F1が好きでDAZNを視聴している私が、月額4,200円が実質1,000円で見られるとしても、あの料金プランを契約するつもりはありません。

 

Wi-Fiをつなげない環境、つまりはデータ通信量を使って動画を視聴する人なら別ですが、私がDAZNを見るのはWi-Fiがつながっている自宅。データ通信量が無制限である高い料金プランを選ぶ必要性がありません」

 

auの「スターリンクダイレクト」サービスは山や海など通信圏外でも使えることを売りにしているが……。

 

「私もキャンプ場にはよく行きますが、フリーWi-Fiもかなり整備されており、なかなか圏外になりません。たとえ衛星通信網を使うような緊急事態だとしても、テキストメッセージや居場所を送れるだけでネットも電話もできません。そもそも、通信衛星網を使うような場所に行く人がどれだけいるかという話。

 

本来なら自分の意思で必要なサービスを選べるべきですが、必要と感じない人が多いサービスが勝手に付いてしまいました」(鮎原さん)

 

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