日本歯科大学内科客員教授で高血圧専門医の渡辺尚彦先生 画像を見る

日本人の3分の1、約4千300万人が高血圧だという。

 

日本高血圧学会は、気温が低下する12月~2月は心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患による死亡者数が明確に増加するという緊急声明を発している。こうした疾患のリスクが高いのが高血圧患者というわけだ。

 

そこで今回は、1987年8月22日以来、24時間365日自動血圧計を装着している“ミスター血圧”こと高血圧専門医の渡辺尚彦先生に、先生が日々実践している血圧コントロールの方法を参考に、私たちが注意すべき生活習慣を教えてもらった。

 

「心筋梗塞や脳卒中による突然死は、前触れなく起こると思っているでしょうが、実は事前に徴候(手足の痺れや胸痛など)が出ていることがあります。毎日血圧を測定して自分のコンディションを把握していれば、自分で異変に気づき、薬に頼らなくても大病を未然に防ぐことができるのです」(渡辺先生)

 

渡辺先生自身、40年近く血圧を計測し続け、自分で集めたデータから、本当に血圧を下げると実証できたものを患者さんにすすめているという。

 

具体的に先生がおすすめする夜の生活習慣を紹介しよう。

 

【18時】おすすめの夕食

夕食には、ほうれん草、小松菜、きのこ、海藻、豆類など、カリウムが豊富な食材を積極的に取り入れて、ナトリウムを排出しよう。お酒を飲みたい人は、赤ワインを1~2杯飲むのがよい。赤ワインのポリフェノールが血圧を下げるという研究結果がある。

 

【18時30分】デザートはりんごやみかん

冬場が旬のりんごやみかんはカリウムが豊富。食物繊維が腸内環境も整えてくれるので、翌朝のスムーズな便通につながりやすい。

 

【19時】ふくらはぎパンパン体操を行う

第二の心臓といわれているふくらはぎだが、高血圧の人のふくらはぎは硬くなりがち。両手でやさしくふくらはぎをたたくことで筋肉の血行がよくなり、血圧が下がる。座った体勢で、両手でやさしく、ふくらはぎのウラ面や側面を下から上にパンパンとたたくだけ。片足5分ずつ朝、昼、夜とたたくとよい。

 

【20時】入浴はぬるめのお湯につかる

寒い季節はトイレや脱衣所での急激な温度変化によって血圧が上昇しやすい。脱衣所は暖かくし、40度くらいのお湯でゆっくり体を温める。

 

【20時30分】お酢を飲む

スプーン1杯(15ml)のお酢を飲むと血圧が4mmHg下がることが明らかになっている。りんご酢を炭酸水などで割って飲むとおいしい。

 

【21時】好きな音楽を聴いてリラックス

夜は好きな音楽を聴くなどリラックスタイムをもうけよう。血管が広がって血流がよくなり、血圧が下がるというデータがある。

 

【21時30分】自律訓練法を行う

自律訓練法は「両足が温かくなれ」「両手が温かくなれ」などと繰り返して唱えることで自然と体温が上昇、血管が広がり血圧が下がる。

 

【21時45分】今日の行動・食事を記録する

一日の食事や運動、測定値などを振り返って簡単な記録をとっておくことで、自分の体の変化を知ることができる。

 

【22時】就寝前に血圧を測定

就寝前の血圧測定も、朝と同様、毎日同じ条件下で行う。睡眠中は血管が修復されるため、良質な睡眠は欠かせない。

 

仕事を終え、日も暮れて、体のバイオリズムが落ち着く時間帯に入ると血圧も下がり気味になる。

 

この時間帯にしっかりとリラックスをすることが、良質な睡眠につながり、睡眠中の血圧コントロールを成功させる鍵だ。そのためにも、寝る前に行いたい生活習慣を紹介しよう。

 

夕食は、ほうれん草、小松菜、きのこ、海藻、豆類など、カリウムの豊富な食材を積極的にとろう。

 

夕食時にナトリウムを排出するカリウムを多めにとることで、翌朝の血圧を下げることにもつながるからだ。

 

「りんごは特に優秀です。せんべいを食べ過ぎて手足がむくんだ私の妻が、りんごでむくみが取れたという実績があります」

 

また「ふくらはぎパンパン体操」は朝、昼、夜と行いたい。

 

夜は、リラックスモードになり、すんなりと入眠するための準備時間。そのためにも、激しい運動をしたり、感情的になるようなことは避けよう。ゆったりとした音楽を聴いたり、40度くらいのぬるめのお湯に首までしっかりとつかって、体を温めたりして、副交感神経を優位にしよう。

 

寝る前には、りんご酢を炭酸水などで割ったお酢を飲むのがおすすめだ。

 

実際に血圧が日中143mmHgまで上がる人が、スプーン1杯のお酢を飲んだら、飲酢後すぐに124mmHgまで下がったというデータがある。

 

■「自律訓練法」で自己催眠をかけて体温を上昇させる

 

体温を上げるには自律訓練法を取り入れる方法もある。

 

「自律訓練法とは、一種の自己催眠療法のことで、心療内科医の先生から教えていただいたものです。『温かい、温かい、右手が温かい』『左手が温かい、全身が温かい』などと唱えているうちに、本当に体中がぽかぽかしてきて、実際に体温が1~2度上昇することもわかっています。

 

血圧の変動の激しかった患者さんが、自律訓練法を続けているうちに、3カ月ほどで血圧が安定したという成功体験もあります」

 

また、その日一日の食事や生活習慣を振り返って、記録をつけてみてほしい。

 

「この振り返りがあることで、日々の血圧についての意識がしっかり芽生えて、自分の体調に敏感になります」

 

最後に血圧を測定して、就寝だ。

 

これらの一日のルーティンをとりあえず1週間ほど続けると、自分の体の変化がわかるようになるという。ぜひ、やってみよう。

 

【PROFILE】

わたなべ・なおひこ

高血圧専門医。日本歯科大学内科客員教授。近著に『血圧を下げるのに減塩はいらない!』(アスコム)など

 

画像ページ >【写真あり】“ミスター血圧”こと高血圧専門医の渡辺尚彦先生(他1枚)

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