葵を中心に家族の笑顔は絶えない(撮影:加治屋誠) 画像を見る

【中編】ダウン症の俳優・吉田葵(17) 「『この子は将来、ドラマに出るんだよ』と話しても、絶対に信じないでしょうね」障がいのある子を持った母の葛藤 より続く

 

俳優のザック・ゴッツァーゲンはアカデミー賞授賞式でプレゼンターを務め、モデルのマデリン・スチュアートはニューヨークのランウェイを闊歩、ジェイミー・ブルーワーは人気ドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』の常連キャストに……。

 

アメリカではダウン症でありながらさまざまな分野で活躍するセレブは多い。そして日本でも、一人の“ダウン症のあるスター”が生まれようとしている。(全3回、後編)

 

■ダウン症の子にも得意不得意があって、葵は『静』より『動』でした

 

ダウン症の人は、視覚が優位でほかの子のまねが得意なことが多いという。

 

「東京に戻って入った幼稚園では、ブランコでも滑り台でも、ほかの子がやれば僕もやってみたいとまねをして、いつの間にかできるようになる。言葉も運動も急にいろいろできるようになりました」

 

小学1~2年生は通常学級へ、小学3年生からは特別支援学級に通い始めた。兄の匡志さんは当時ダンス教室に通っていたが、付き添いでついていった葵は、スタジオの隅でずっと踊っていたという。

 

「ダウン症の子にも得意不得意があって、絵を描いたり、書道をしたりすることで個性を発揮する子もいます。でも、葵は『静』より『動』でした。

 

画用紙やクレヨンを用意しても、バーッと描いては、どこかに行ってしまうタイプ。じっくり座っているよりも、体を動かしているほうがいいので、リトミック教室に通わせることにしました」

 

中学生になってからは殺陣に興味を持ち、芸能事務所に登録。レッスンを受けているときに映画『PERFECT DAYS』への出演話が舞い込んできた。

 

さらに、連続ドラマのオーディションがあることを知人が教えてくれた。

 

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