「人間は毎日歩きます。その一歩一歩の積み重ねで体をゆがませてしまうこともあれば、やせてキレイになることもできる。歩き方ひとつで人生を変えることもできるんです。実際に私もそうでした」
そう話すのは、モデルやタレントとして活躍する仁香(42)。現在は姿勢&ウォーキングアドバイザーとして歩き方の指導も行っている彼女だが、実は13キロも激太りし、モデル業を休業していた過去があるという。
「20代のころの私は、仕事中は姿勢を正していたものの、それ以外の時間は疲れていたせいもあり、背中も丸まって……という生活でした。仕事のプレッシャーもあって、一時期は体重が63キロまで増えました。焦って手あたり次第にいろんなダイエットを試しましたが、どれも目立った効果はなく、あきらめてモデル業をお休みしたのです。休業中に始めたのがウォーキングでした。自宅と当時経営していたエステサロンの30分ほどの距離でしたが、あれほど頑張っても落ちなかった体重がみるみるうちに減っていったのです」
その後、本格的にウォーキングを学び始めた彼女だが、周りの日本人女性の歩き方を見て、気づいたことが……。
「猫背で内股、膝は大きく曲がり、そして鳩のようにペタペタ、チョコチョコと歩いている人がすごく多いんです。海外の人から見ると、歩き方だけで日本人とわかるほど、特徴があるそうです」
’14年にオムロンヘルスケアとワコールが立ち上げた「女姿力 向上プロジェクト」による調査では、日本に1年以上住んでいる外国人男性の7割近くが、日本人女性の残念な部分として「歩き方」を挙げている。では、正しい歩き方を身につけ、キレイになるにはどうしたらいいのだろうか。
「まずは姿勢。壁を背にして立ったときに、かかと、ふくらはぎ、お尻、肩甲骨、後頭部が壁につき、背中には手のひら1枚半分のスペースができている状態が理想です」
この姿勢を覚えるのにうってつけなのが、次の「トウモロコシのフォーム」だ。
《1》かかととつま先をそろえて立ち、両手をお尻の両頬に当てる。お尻に軽くキュッと力を入れて、中央に寄せる。肩は力まないように。
《2》お尻を引き締めたまま、体の後ろ側から両腕を頭上に向かって上げていく。このとき腕は肩の付け根から大きく動かす。
《3》両手の親指が頭の上でくっついたらストップ。このとき腕は耳の後ろ側にくるように、ひじは天に向かって思い切り伸ばす。
《4》手のひらを合わせて、さらに腕をぐーっと伸ばして10秒キープ。背すじも自然と伸びている。
《5》そのまま腕をゆっくり下ろすと、正しい姿勢に。
「3では、できるだけ腕をまっすぐに伸ばし、腕が耳より前に傾かないように注意。最初はキツく感じるかもしれませんが、できる範囲で頑張ってみてください」
正しい姿勢の感覚が身についたところで、「美姿っと!ウォーキング」に挑戦!
「基本はとてもシンプルで、踏み出した足をかかとから着地するだけ。かかとが地面についたら足の内側を意識して体重を移動させましょう。年をとると衰えやすい内股の筋肉を鍛えることができ、O脚も改善されます。かかとを着地させるときに足指をしっかり上に向けると、見た目もキレイです」
美しい歩き方にはやわらかい足首が必須だが、「足首回し」が効果的。まず、立ったまま、片方の足首を少し前に出し、内側に向かって円を描くようにゆっくりと回す(滑らかに回せるようになるまで、片足10回ずつ)。両足の内回しが終わったら、今度は外回しを。
「この歩き方が身につけば、体幹やインナーマッスルが鍛えられ、1日200歩だけでも美しい体形に変われます。『1万歩を目指そう』などと思うと、なかなか長続きしないものですが、家の中やスーパーで、正しい歩き方を実践するだけでもかなり効果があります。私がアドバイスした方のなかには『10キロ近くやせた』という人もいました。簡単ですから、ズボラな人にこそ試してほしいですね。そういう私もズボラ人間なんです(笑)」