原材料高騰や円安を背景に10月から一斉に値上げが相次ぐ食料品。いっぽう、価格は据え置いたままで、容量を減らして“シュリンクフレーション”する商品も多い。
そんななか、SNSではある商品のリニューアルが注目を集めている。それは料理やお菓子の材料として幅広く使用され、レシピサイトでも人気の高い「キリ クリームチーズ」。フランスでは1966年に、日本では1983年から発売されたロングセラー商品だ。
正方形に個包装されたチーズが6個入りと10個入りで販売されている同商品。しかし、商品名が「キリ クリーミーポーション」にリニューアルされていたのだ。さらに、重量も1個あたり18グラムから16.3グラムに減少。また、パッケージ裏面を比較すると、従来の商品は「プロセスチーズ」と表記されており、リニューアル後は「乳等を主要原料とする食品」として「無脂乳固形分11.4% 乳脂肪分29.3%」と記載されている。
このリニューアルを知らなかった人もいたようで、SNSでは驚きの声が広がっている。
《知らなかったー!》
《知らずにチーズだと思って食べていました》
《これまでキリチーズで書かれていたレシピが使えなくなってしまう…板チョコに続いて悲しい》
《そして小さくなったのね…切ない…でもキリ好き!常備してる!》
《こないだ久々にkiri食べたら、なんか厚みが違うし柔らかすぎる感じしたんよなー! やっぱ変わってたんか! 箱全然見てなかったわw》
パッケージデザインも従前とほぼ同じであるため、商品がリニューアルされていることに気づかなかった人も多かったようだ。いったいどのような経緯があったのだろうか? そこで本誌は、同商品を取り扱う輸入会社「ベル・ジャポン株式会社」の広報部に取材。
「リニューアルと容量変更はいつからか?」「『クリームチーズ』と『クリーミーポーション』の成分はどのように異なるのか?」などの質問を送ると、担当者より次のように文書で回答があった。
「ベルグループは、健康的で責任ある食品をすべての人に提供することに取り組んでいます。具体的には、商品の仕様を改善し、環境への影響を可能な限り軽減することに継続的に取り組むことを意味します。その目標を達成するための一つとして、新しい仕様で製造したキリのポーションタイプ『キリ クリーミーポーション』を今年9月に日本で発売しました。
キリは豊かな自然の中で育てられた牛から採れる新鮮なミルクと生クリームから作られています。素材の味を生かしたキリのクリーミーな味わいはそのままに、よりなめらかになって新登場しました」
「また、開発の過程で実際に多くの消費者を対象にお試しいただきご好評を頂いています。この新しい仕様により、『キリ クリーミーポーション』は、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)で定める「乳等を主要原料とする食品」に分類されることになりました。引き続き、安心・安全そしてお客様にとって価値ある商品の提供に努めて参ります」
多くの家庭で愛されている商品であるだけに、リニューアルには高い関心が寄せられたようだ。