「よく料理レシピで『塩・こしょう少々』という記述が出てきますが、『少々』は人によって違いますよね。調味料の量で料理の味は変わってしまいますし、顆粒の塩を計量するのは、本当に難しい。では、塩分計量を正確にするにはどうしたらいいか、料理によって塩分の量を均一にできる方法はないかと思い、塩水を調味料とする『減塩水レシピ』を考えつきました」
そう語るのは、『血圧が気になり出したら 初めての減塩水クッキング』(セブン&アイ出版)の著者で、料理家・栄養士の小田真規子さん。減塩水って、いったいどんなモノなの……?
「水に一定量の塩を溶かした塩水のことです。塩を液体にすることで、塩分1グラム未満でも簡単にはかれるので、計算もしやすい。塩はどこにでも売っている精製塩、水は水道水でもミネラルウオーターでも、ふだん料理に使っている水で大丈夫。誰でもご自宅ですぐに作れますよ」(小田さん・以下同)
しかし、減塩料理というと、味が薄くておいしくないというイメージがあるけれど……。
「減塩水を使えば、最小限の量の塩で味が決まります。適正量の塩によって素材の味が引き立ち、素材独自のうま味を引き出せるんです。また、液体なので素材にまんべんなく塩分をいきわたらせることができ、余計な塩分のカットにもなります。素材にベースの味がきちんとつくので、知らず知らずのうちに多めに入れてしまいがちな、みそやしょうゆの使用量も減らせるんです」
減塩水は高血圧や生活習慣病の予防になるだけではない。病気で塩分計算が必要な人のみならず、女性にとってもうれしい効果があるという。
「味の濃い料理を食べ続けていると、舌がより濃い味を求めてしまう傾向があります。どんどん塩分を摂取したくなるだけではなく、糖分や脂肪分などより刺激の強いものを求め、負の連鎖に陥りがち。減塩すれば、糖分や脂肪分も回数・量ともに減らすことができ、ダイエットにもつながるんですよ。塩分を減らすことで、むくみの防止にもなり、体もスッキリします」
減塩水を使った超画期的調理法は、減塩料理の味けなさに嫌けがさしている人への福音といえそうだ。