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顎関節症や高血圧、腎臓病や胃炎、アトピー性皮膚炎や関節炎など――それは口呼吸が原因かも。多くの疾患を予防する正しい鼻呼吸のやり方をお教えします!

 

「健康でいたければ、鼻呼吸にするべきです」と断言するのは、体の治癒力を高めて健康にする方法を追究している、内科医で「みらいクリニック」(福岡市)院長の今井一彰さん。

 

「鼻は、鼻腔の入口に生えている鼻毛で空気中の大きな異物やゴミをキャッチ。その奥の線毛組織でより細かい異物も排出します。鼻呼吸は空気中のゴミや細菌、ウイルス、花粉などの異物の侵入を防ぐフィルターの役割を果たすと同時に、冷たい空気を温めてから肺に送っているので、体も冷やさないんです。いっぽう、口はフィルターや免疫の機能がありません。そのうえ、口呼吸で口内の粘膜が乾燥すると、免疫力が低下します。当然、病原体や有害物質の侵入を許し、感染症や炎症のもとになる=つまり、口呼吸は万病のもとなんです」

 

では、自分が口呼吸だった場合、どのようにして「鼻呼吸」に矯正すればいいのだろうか。

 

「大切なのは顔の筋肉と舌の筋肉を鍛えることです。そのためにまず、私が考案したのが、誰もが実践できる『あいうべ体操』です」

 

この“今井オリジナル”の「あいうべ体操」は、文字どおり、「あ」「い」「う」「べ」の発音に合わせて口や舌を動かす運動。1つの形に4秒間ほどかけて、できるだけ大げさに口を動かすのがコツ。

 

【鼻呼吸を実現する「あいうべ体操」】

 

・「あ」なるべく口の形が円に近づくようにする
・「い」前歯が見え、頬の筋肉が両耳に寄るまで横に開く
・「う」くちびるをとがらせて、前に突き出す
・「べ」あごの先端まで伸ばすイメージで舌を出す

 

まずはお風呂や洗面台の鏡の前で口の形を確かめながら、正しく行う。慣れてくれば、トイレの中や、テレビを見ながらなど、鏡のない状態でも正しく行うことができる。1日合計30回を目標に。

 

「ふだんの生活から、『舌の位置』を意識してください。口呼吸の原因の1つが、筋力の低下で口内での舌の位置が下がり、下あごを押してしまうことにあります。舌が上あごにピッタリくっつく状態を保ちましょう」

 

睡眠時にも鼻呼吸をキープする方法がある。

 

「寝ている姿勢はそもそも、口が開きやすいので、口呼吸になりやすい。その睡眠時の口呼吸を防ぐためには『口テープ』が有効です」

 

【口テープの作り方】

 

市販のものもあるが自作することもできる。医療用の紙テープが望ましいが、セロハンテープなどでも。くちびるにのりがつくのが嫌な人は、5ミリずつ残して、2枚のテープののり面同士をくっつける。粘着力が強く感じる場合、布などに貼ってはがして粘着力を弱めよう。できあがったテープは、閉じた口にタテに貼る。

 

「口呼吸はいびきを引き起こします。夫のいびきが原因で寝室が別だったご夫婦が、口呼吸の改善によって、また同室で寝られるようになった例は多いです。また慢性鼻炎だった小学生の男の子が、夏休みに『あいうべ体操』をしたら2週間で改善されたという報告も。お子さんがはじめる年齢の目安は、体操は2歳くらいから、『口テープ』は5歳になってからはじめるのがいいでしょう」

 

さっそくお盆を迎えるこの時期から、「あいうべ体操」と「口テープ」の併用で“万病予防”の鼻呼吸になろう!

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